「スピーディな減量とゆっくりな減量はどっちがいいのか?」のメタ分析
減量の世界では「ダイエットは素早く痩せるのがいいのか?ゆっくり痩せるのがいいのか?」って問題が昔からあるわけです。一気に痩せちゃった方がリバウンドしない!って意見がある一方で、少しずつ痩せないと体に悪い!みたいな主張もありまして、悩んでしまうところだったりするわけっすな。
というわけで、新しいメタ分析(R)では、「体重の減少は早いほうがいいのか?それとも遅いほうがいいのか?問題」をがっつりと調べてくれてていい感じでした。
具体的には、過去のダイエット研究から7件を分析したもので、
- ゆっくり減量した人167人
- すばやく減量した人194人
を比較した内容になっております。年齢は18~70歳までバラバラで、BMIは過体重または肥満レベルな人だけを選んだそうな。
また、実験期間については「ゆっくり」グループが9〜36週間で、「すばやい」グループが5〜12週間。両グループとも、平均5〜10kg前後の減量が見られたとのこと。まぁ全体的にメタ分析としてはサンプルが少ないので、とても決定的な結論は出せなさそうですが、ある程度の参考にはなりましょう。
で、分析の結果はこんな感じです。
- 体脂肪量については、「ゆっくり」グループの方が「すばやい」グループよりも減少しており、その差は約1.04kgだった
- 筋肉量については、「すばやい」グループの方が「ゆっくり」グループよりも約0.86kg多く減量していた
- 体脂肪率については、「ゆっくり」グループの方が「すばやい」グループよりも減少量が大きく、その差は約0.84ポイントだった
- 運動をしてない時の消費カロリーの低下については、「ゆっくり」グループよりも「すばやい」グループの方が大きかった(1日約57.5kcal)。すべてのグループを見た場合、最大の低下は162kcal/日ぐらいで、最小の低下は23kcal/日ぐらいだった
というわけで、ざっくり言えば、
- ゆっくり痩せるほど体脂肪が減り、筋肉量も維持され、安静時代謝の低下も小さい
との結論になっておりますね。この結論を見る限り、太りぎみの人はやはりゆっくり痩せたほうがいいのかも?って感じですね。
ただ、ここで難しいのは、
- この研究の参加者は筋トレをしてないので、筋肉の保存量はもっと抑えられる気はする
- みんな三大栄養素のバランスを固定した食事をしてたので、もっと高タンパクにしたら筋肉は保存できそうな気がする
- スピーディに痩せたグループは摂取カロリーが少ないので、そのぶん安静時代謝が落ちるのは当たり前だし、それにともなう低タンパク質と、グリコーゲン貯蔵量が影響している気がする
ってとこでして、このブログをお読みのような方は筋トレ&プロテイン好きも多いでしょうから、その場合はどこまで参考にしていいかは判断しづらいとこなんですよね。
さらに言えば、メタ分析ではないものの、1年におよぶ長期研究では「一気に痩せた方が採取的に体脂肪が減ってた!」って結果も出てるので、さらに判断が難しかったりするんですよね。うーん。
まぁもろもろ合わせて現時点で思うのは、
- 普通の体型の人(BMI18.5以上25未満ぐらい)は、とにかくゆっくり減量したほうが筋肉は維持できるから良いと思われる(1週間あたりの体重の0.5%以下ぐらい)
- ただし、スピーディな減量の方がメンタルが楽な傾向はあるし、成果が速いぶんだけモチベーション持続するんで、太りぎみな人はそっちのほうがいい気がする
みたいな感じですかねー。いずれも長所と短所があるので、目標に合わせて選んでいただくのが良いのではないかと。