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今週半ばの小ネタ:糖質で太る遺伝子、良い会社のコミュニケーション、ビタミンB12で癌に?

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

糖質で太りやすい女性が存在するかもだぞ!みたいな話

スリムな体型を保つにはカロリーが一番大事!ってのは動かせない事実ながら、人によってはタンパク質を多めにとった方がいい人や、糖質に反応しやすい人など、いろんなパターンがあるわけです。

 

 

でもって新しいデータ(R)は、「糖質で太りやすい遺伝子を持つ人がいる!」みたいな話になってておもしろかったです。これはふたつの研究で構成された論文で、

 

  • ひとつめは、4つの前向き研究の分析。「AMY1って遺伝子をどれぐらい持っているか?」と「BMIまたはウエストサイズの変化」「炭水化物の摂取量はどれぐらいか?」の3つを32,054人の参加者で調べ、5.5年から10年かけて評価した

 

  • ふたつめは2年間のRCTの解析で、炭水化物の摂取がAMY1って遺伝子の数が体重に及ぼす影響を調べている。具体的には、811人の参加者を高炭水化物(1日のカロリーの65%を糖質にする)、中炭水化物(45〜55%)、低炭水化物(35%)の3つのグループに分けて、BMIとウエストサイズを評価している

 

 

みたいになってます。AMY1って遺伝子は唾液中のα-アミラーゼの量をコントロールしていて、こいつが多くなるほどデンプンをうまく消化できるようになるんですよ。つまり炭水化物の吸収量が上がりまくるわけで、そのぶんだけ太りやすくなるんじゃないか?と考えられるわけですね。

 

 

すると、結果はこんな感じになりました。

 

  • どちらの分析でも、AMY1のコピー数が多い人は、糖質の摂取量が多くなるほどBMIと体重の増加が大きくなる
  • 上記の影響は女性にのみ見られた

 

ということで、AMY1が生まれつき多い女性は、人よりも糖質で太りやすくなる傾向があるらしい。なんで女性に飲み見られる現象なのかは謎ですが、ここらへんは日々の食事を変えてみて「自分はAMY1が多いのか?」ってのをチェックしてみると良さそうっすね。

 

 

 

良い会社のコミュニケーションと、悪い会社のコミュニケーション

雰囲気が良い会社と悪い会社は何が違うの?」みたいなポイントを調べた研究(R)が出ておりました。2つの会社でやりとりされた500通以上のメールを調査した内容になっております。

 

 

この2つの会社はチームの士気が大きく違っていて、

 

  1. 対立が激しく、士気が低く、離職率が高い会社
  2. ポジティブな文化を持っており、社員の仲が良い会社

 

という差があったらしい。このような雰囲気の違いには、社内のコミュニケーションが関わってるんじゃないか?とチームは考えたわけですね。

 

 

すると、2つの会社はコミュニケーションの内容に大きな違いがありまして、

 

  • 仲が悪い組織のメール:「会議は午後3時からです」というシンプルな文章が多い
  • 仲が良い組織のメール:「皆さん、こんにちは!元気でやってまうすか?金曜日の午後3時にミーティングでお会いできるのを楽しみにしています」みたいに丁寧な文章が多い

 

って感じだったそうな。もちろんメールの文面だけで会社の空気が変わるわけじゃないでしょうが、良い会社はやっぱ細かいとこでも気を配ってるんだなーという印象は受けますね。もちろん、これは会社の雰囲気がメールに反映されてるだけの可能性もありますんで、そこはご注意いただきたいわけですが。

 

 

 

ビタミンB12をとりすぎると肺がんリスクが……

ビタミンB12は超大事な成分だがとりすぎるとヤバい」って話はよく書いているところ。神経系にめちゃくちゃ重要な成分ながら、過剰摂取すると病気の発症率があがっちゃうみたいなんですよね。

 

 

でもって新しい実験(R)では、「ビタミンB12で肺がんに?」って怖い結果になっておりました。これは63,257人の中国人男女(1993~1998年の登録時に45~74歳)を対象にしてまして、参加者を最長25年間かけて肺がんの発生率を追いかけた内容になっております(平均17.64年)。

 

 

ざっくり言いますと、

 

  1. どんな食事をしているかを定期的にチェック
  2. 自己申告された食事内容の正確性を評価するために、810人をランダムに選んで詳しい食事内容をチェック
  3. 各参加者が摂取してる栄養の1日平均摂取量を算出し、肺がんの罹患率と比べる

 

みたいになってます。もともと「ビタミンB群って腫瘍を抑制する遺伝子の機能を下げちゃうんじゃない?」と言われてたんで、研究チームもあらためてこういう調査をしたわけです。

 

 

さて、その結果は、

 

  • 調査期間中に2,001人の参加者に肺がんが見つかり、B12の摂取量が多い人は肺がんのリスクが18%増加する(年齢、性別、教育、喫煙の有無、総カロリー摂取量は調整ずみ)

  • 参加者のビタミンB12の主な摂取源は赤肉(牛とか豚とか)であり、サプリメントを使っている人は少数派だった

 

だったそうな。んー、おそろしや……。

 

 

もっとも、くり返しになりますがビタミンB12は大事な栄養素なんで、不足しちゃいけないし多すぎてもいけないという感じなんで、やはり赤肉はそこそこにしといた方が良さそうっすね。

 

 

ちなみに、高濃度のビタミンB12は、喫煙者や酒好きのがんリスクを高めるかも?ってデータもいくつかありますんで、そこらへんもふくめてご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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