日本人は、なぜか年々「自信」がなくなってる!みたいなメタ分析の話
日本人はどんどん自信がなくなってる!みたいなデータ(R)がおもしろかったのでメモ。具体的にどんな調査かと言いますと、
- 1980 年から2013年にかけて、ローゼンバーグの自尊感情尺度で日本人の自尊心を計測したデータを集める
- ピックアップされた256の研究から48,927人分のデータでメタ分析を行う
みたいになってます。これにより、過去のおよそ30年にわたって日本人の自尊心がどう変わってきたかがわかるわけですね。
ローゼンバーグの自尊感情尺度ってのは、自尊心を測るための定番のテストで、以下のような質問に答えてもらって判断します。
- 私は自分に満足している。
- 私は自分がだめな人間だと思う。(R)
- 私は自分には見どころがあると思う。
- 私は、たいていの人がやれる程度には物事ができる。
- 私には得意に思うことがない。 (R)
- 私は出分が役立たずだと感じる。 (R)
- 私は自分が、少なくとも他人と同じくらいの価値のある人間だと思う。
- もう少し自分を尊敬できたらと忠う。 (R)
- 自分を失敗者だと思いがちである。 (R)
- 私は自分に対して、前向きな態度をとっている。
60年代から使われてる質問集でして、この数値が高ければ自尊心があると判断できるわけです。
でもって、おおよその傾向はこんな感じになりました。
- 大学生は最近になるほど自尊感情の平均値が低下する傾向にある
- 中高生や成人でも、最近の調査になるほど自尊感情の平均値が低下していた
ということで、どの年代でも最近になればなるほど自尊心が下がり続けてるらしい。ちなみに、年齢別に見た場合は、
- たいていの人は、10代で自尊心がさがり、20代で上昇。30〜40代は変化がなくて、50〜60代で自尊心がマックスになる
みたいな傾向があったらしい。こちらはだいたい海外の研究と同じで、思春期にはいったん自尊心が下がるものの20代で回復するのは割とよく見かける感じっすね。
日本人が自信を失い続けている理由はよくわからないんですけど、そこらへんは謎。直感的には「失われた20年のせいでは?」と考えたくなるところですが、著者チームは「経済状況と青年期の価値観を検討した先行研究だと、経済が悪化してもポジティブな自己観が増えてる」と指摘してまして、シンプルに経済が悪いから自信が下がるとも言いづらいそうな。うーん、不思議だ。
では、ひるがえって他国はどうかと言いますと、
- 35,499人のデータを調べた中国のメタ分析では、やっぱり1990年代から2000年代にかけて若者の自尊心低下が見られた(R)
- 1988年から2008にかけて55706人の若者を調べたデータでは、最近の方が自尊心が上がっている(R)
みたいになってたりします。こうしてみると国によって結構な違いがある感じもしますね。経済発展してたはずの中国でも自尊心が下がってるところを見ると、やっぱ経済はあんま関係ないんかな……。
ちなみに、国際比較(R)でも「日本人は他の国より自信がない!」って結果が出ることが多くて、これもまた謎。「日本人は謙譲の美徳を重んじるからだ」とか「日本は短所に目が行きがちな文化だ」とか言われてますが、これといった定説がない感じではあります。不思議っすなぁ。
さらに余談ながら、私も自信はまったくないタイプなんですが、近ごろは「自信についてはあきらめて、自信がないことのメリットを生かすしかない!」みたいな考え方にシフトしております。なんか、いろいろやってみても自信がつく感じがしなかったもんで(笑