このブログを検索

今週末の小ネタ:ノセボで筋トレの効果激減、アーモンドで美肌に、プロバイオティクスで炎症が減る

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

ノセボ効果で筋トレの効果が薄れる?

ノセボ効果ってのがありますな。プラセボ効果の逆の現象で、「否定的な期待を持つことで結果が悪化する」ことを意味してまして、「足がちょっと痛いからダメだな…」とか思ってると、実際にスポーツのパフォーマンスが下がっちゃうんですよ。

 

 

で、新しい試験(R)は「ノセボ効果で筋トレのパフォーマンスは下がるか?」ってポイントをチェックしてくれてておもしろいです。これは筋トレ未経験な14人の男性を対象にした試験で、まずはみんなに上腕二頭筋カールをガンガンやってもらい、その後で全体を2つに分けたそうな。

 

  1. ノセボグループ:コーンスターチが入ったカプセルを飲んでもらうが、その際に「このカプセルには無機硝酸塩が含まれており、次の筋トレでは痛みが増し、パフォーマンスが低下する」と説明される

  2. 対照グループ:特になにもしない

 

それから48時間後に、再び同じような筋トレをしたところ、こんな結果になりました。

 

  • 両グループともに痛みが増し、RPEは変化しなかった。ただし、ノセボ群はROMとレップ数が減少し、その差は統計的に有意だった


  • ノセボ群の参加者全員が、カプセルによってパフォーマンスが低下したことに同意(43%)または強く同意(57%)し、筋肉痛が増加したことに同意(14%)または強く同意(86%)した

 

あくまで少数の参加者を対象としたパイロット研究なんで、今回の結果が普遍的なものかは謎なんですが、とりあえず筋トレ前に変な思い込みはしない方が良さそうっすね。

 

 

 

アーモンドで女性は美肌になれるかも?

アーモンドが栄養豊富なのは有名な話ですが、新たに「女性の肌質を改善するのでは?」ってデータ(R)が出ておりました。どんな研究かと申しますと、

 

  1. 平均年齢64歳の女性56名を対象に、そのうちに半分に1日の総摂取カロリーの20%をアーモンドにしてもらう(だいたいアーモンド57gで1日約330キロカロリーぐらい)。残り半分は、同じぐらいのカロリーのスナックを食べる

  2. 24週間後、全員のシワの量、経表皮水分損失(TEWL)、皮膚の色素沈着、皮膚の水分補給、皮脂分泌量を測定する

 

みたいになってます。1日にアーモンド57gって、そこそこ多めっすね。

 

 

でもって、結果はこんな感じになりました。

 

  • アーモンドを食べたグループは、最初の状態と比較して、16週目にシワの重症度が改善(15%)、24週目にシワの重症度が改善(16%)し、16週目に色素の濃さが減少し(20%)、24週目にもその状態が維持された

  • スナックを食べたグループは、シワの重症度や色素沈着に変化は見られなかった。ただし、どちらのグループともに、試験の期間中は肌の水分量が同じように増えた

  • TEWLは両グループともに変化なし。皮脂排泄量は、アーモンドグループでは変化が見られなかったが、コントロールグループでは24週目までに155%増加した

 

ってことで、アーモンドにはそれなりの効果が認められたみたいっすね。まぁアーモンドは栄養豊富なんで、そりゃあスナックを食べてるよりは肌質が改善するのも当たり前な気がしますが。

 

 

もちろん、こちらもパイロット研究なんで、まだ「アーモンドを食べて美肌になろう!」とは言えない段階ではありますが、日常的な軽食の一部にしとくのは十分ありでしょうね。

 

 

 

プロバイオティクスで炎症は減るのか?

プロバイオティクスで免疫システムが正常化するのでは?みたいな話は少なくないんですが、新たに「全身の炎症に効くのでは?」ってメタ分析(R)が出ておりました。

 

 

これは、プロイバイオティクスに関する過去の研究から42の試験をピックアップし、2,258人の参加者で調べたデータを分析しております。データのうちわけを紹介しておくと、

 

  • 乳酸菌を投与した試験が12件、ビフィズス菌を投与した試験が4件、サッカロミケスを投与した試験が2件、複数のプロバイオティクスを投与した試験が24件だった

  • 6件の研究は健康な人を対象とし、その他の研究では様々な疾患(胃腸疾患、骨格疾患、代謝性疾患、アレルギーおよび自己免疫疾患、腎疾患、重症患者、心不全、、うつ病)を対象にしていた

 

みたいな感じになってます。全体のデータの質は低めから中程度ですが、それなりに参考になるんじゃないでしょうか。

 

 

でもって、いきなり結論からまとめちゃうとこんな感じです。

 

  • 全体として、プロバイオティクスの補給は、炎症性マーカーの一部(CRP、TNF-α、IL-6、IL-12、IL-4)を減少させ、抗炎症性マーカーであるIL-10の濃度を増加させた

  • IL-1B、IL-8、IFN-g、IL-17には影響がなかった

 

というわけで、なんらかの不調が起きている方には、やはりプロバイオティクスはいいのかも?って気がしますね。ただ、やはり全体的にはプロバイオティクスの反応は個人差が大きすぎる感じでして、腸の機能が低下している人には有効ながら、健康な人に有効かどうか?と言われれば謎っすね。そこだけは注意してお使いください。


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM