孤独もうまく使えばスキルアップするし自己成長するしで、メリットだらけなんじゃないの?みたいな観察研究の話
孤独は体に良くない!とは何度も書いている話ですけど、なにごとも絶対悪は存在しないもんで、あらゆる「ぼっち」が悪いわけでもなかったりはします。事実、過去には「ぼっちにも効用はある!」みたいな話もありましたしね。
でもって、新しいデータ(R)も「孤独の効能」に関するお話で、まず結論から申し上げますと、
- 自律的なモチベーションがある人なら、孤独は逆にメリットがめちゃくちゃある!
みたいになってます。「ひとりで行動するしかないけど、自分だけで行動と計画を決められるから最高じゃない!」ってタイプのモチベーションがある人にとっては、逆に孤独ってのはポジティブな経験を生み出す土台になるんだよーって話ですね。
これはレディング大学の観察研究で、思春期(13~16歳)、成人(25~55歳)、高齢者(65歳以上)を含む2,035人の男女を集めたうえで、「新型コロナ中のロックダウンのせいで一人でいる時間が良かった?悪かった?」みたいな質問をしたんだそうな。イギリスは3カ月間のロックダウンをしてるんで、ふだんよりも格段に孤独の時間が長かったらしいんですな。
すると、結構な数の人が「孤独が役に立った!」と回答しまして、具体的に以下のようなメリットをあげる人が多かったんだそうな。
- 自己とのつながりが増えた
- 自分で考えて自己管理する能力が増した
- 自律的なモチベーションが増した
- 専門的なスキルがアップした
- 自己成長した
- 自己効力感が増した
- レジリエンスが増した
- プレッシャーから解放された
- 自分を振り返ることが増えた
- 環境に感謝するようになった
- 精神性がアップした
- 穏やかな気分が増した
ってことで、結構な人がロックダウンのあいだにメリットを報告したんだそうな(もちろん「寂しい」みたいなデメリットをあげた人もたくさんいたみたいですが)。この現象について研究チームは、
この調査は2020年の夏に行われ、私たちは、その間に多くの人が趣味や関心事を再確認したり、散歩やサイクリングで自然への感謝の気持ちを深めたりしたようだ。私たちが「自律的なモチベーション」(自分のために一人で過ごす時間を選択すること)と呼ぶ要素は、ポジティブな幸福感の重要な側面であるようだ。
ってことで、あくまで自律的なモチベーションがある限り、孤独はめちゃくちゃ役に立つのではないか、と。まぁ日本でも自粛期間中に「仕事のプレッシャーが減った」みたいな感想をよく聞きましたんで、これはありそうな話ですな。
ちなみに、孤独のメリットは世代によってちょっとした違いがあるみたいでして、
- ティーンエイジャーの場合、孤独によって「自分が有能だと感じる機会を得た」や「自己成長を経験した」みたいな報告がめちゃくちゃ多かった。一方で、孤独による自律性にはあまり関心がないっぽく、具体的には「一人で過ごす時間は、自分の人生の方向性を考えるのにとても良い」や「孤独は物事を解決し、自分の考えをまとめる時間を与えてくれる」みたいな証言が多かった
- 中年期の大人は、ひとりの時間を「自律的で外部からのプレッシャーが少ない」や「自分の能力を高めるスキルを身につけるチャンスだ」と答えるケースが多かった。たとえば「自分の欲求や必要性、希望に耳を傾けることを学んだ。自分の好きな瞬間や活動を楽しもうと思った」みたいな感じ。
- 高齢者(59〜85歳)はスキルの向上や自己効力感にはあまり関心がなく、どちらかと言うと「"他者からのプレッシャーから解放され、自律していると感じられた」みたいな側面を評価していた。具体的には「孤独のなかで静かに一人でいるのは私自身の選択によるものです。世の中で起こっているすべてのことから自分を切り離すのは良いことです」みたいな感じ。
って感じだったそうな。ここらへんは、ライフステージによって孤独から得られるメリットは変わるってことなんでしょうな。個人的には、10代のころから高齢者のみなさんと似たような孤独メリットを感じてまして、あんまスキルとかプレッシャーとかはどうでもいい感じかな……(昔からジジくさいのかもしれませんが)。