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今週半ばの小ネタ:子供の学習能力が高い理由、幽霊を信じやすい人、寝すぎも眠らなすぎも脳機能が下がる


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

  大人よりも子供のほうが学習能力が高い理由ななぜなんでしょう?

なぜ大人より子供のほうが学習能力が高いのか?」ってとこを調べたデータ(R)がおもしろかったんでメモ。言われてみれば、私も「子供のときは新しいことをガンガン覚えてた気がするな……」とか思いまして、ちょっと興味深いものがありました。

 

 

これはカリフォルニア大学などのテストで、64人の幼児(4〜5歳)と87人の大人を集め、それぞれに異なるブロックを機械の上に置くゲームをやるように指示。このゲームはプレイすればするほどルールを理解できるように設計されてて、さらに機械が光れば賞品をもらえるが、機械が光らなければ2倍の損失になるような報酬システムが設定されてたんだそうな。

 

 

で、このゲームをしばらくプレイしてもらったところ、子供と大人には以下のような違いが見られたらしい。

 

  • ほとんどの子供たちは、最終的にルールを正しく理解することができたのに対し、大人は7割以上がルールを理解できなかった

  • その代わりに、子供たちが獲得した報酬の数は、大人たちよりも少なかった

 

ということで、子供は失敗が多いせいで報酬の損失も多いんだけど、その代わりに大人よりも最終的な知識の獲得量は多いんだ、と。

 

 

研究チームいわく、

  

 

私たち大人は、搾取されることに不安を感じて冒険をしなかったり、報酬を失うことを恐れて新しいことを学ぶチャンスを逃すことがよくある。対照的に、子供たちは自然な探索者であり、情報のために報酬を犠牲にすることもいとわない。どちらの考え方も必要だが、私たち大人は、好奇心旺盛な子供たちから何かを学ぶことができるだろう。

大人は悪い結果が出た後に新しいものをすぐに拒絶してしまい、「世界はもっと複雑だ」ということを学べない。

 

 

とのこと。子供は大人よりもガンガンにトライアル・アンド・エラーをくり返すせいで、報酬は犠牲になるかもしんないけど、代わりに世界の複雑さを学ぶ量は増えるわけっすね。んー、これは考えさせられるぜ……。

 

 

まぁこれはあくまでラボ実験ですし、子供の学習方法には文化的な違いも影響してることが多いんで、どこまで日本人に適用できるかは謎なんですけど、生来のビビり気質で失敗を恐れがちな私には刺さりますねぇ。

 

 

 

幽霊を信じやすい人ってどんな人なの?のワイズマン先生の見解とか

リチャード・ワイズマンといえば、「その科学が成功を決める」とか「その科学があなたを変える」で有名な先生ですが、サイエンスフォーカス誌(R)で「幽霊を信じやすい人ってどんな人なの?」を語っておられました。その要点をすごーくざっくりまとめてみると、

 

  • 人間は想像力が豊かな生き物であり、痛みや苦しみのない世界、大切な人がまだ生きている世界を想像したいという欲望がある

 

  • それと同時に、人間はカオスのなかにパターンを見出す生き物でもあるので、ときおりありもしないパターンを見てしまうことがある。これが幽霊の出現につながる

 

  • 2013年にブリティッシュコロンビア大学で行われた研究では、人間以外のものに人間的な特徴を与える傾向(要するに擬人化)が強い人ほど、幽霊を信じる傾向があると結論している

 

  • 幽霊を信じやすい人は。心が広く、創造性に富み、演劇や映画のような状況に夢中になりやすく、パターンを見極める能力も非常に高い。いっぽうえこのタイプの人はすり込みにも弱いので、「この建物には幽霊が出る」と言われるほど、実際に怪現象を体験しやすくなる

 

という感じっすね。幽霊を信じやすい人は簡単に信じ込んじゃう短所があるんだけど、それは高い創造性やパターン認識力の裏返しでもあるんで、良し悪しだよなーみたいなところでしょうか。

 

 

ワイズマン博士いわく、

 

月面着陸やCOVIDのワクチン開発などの偉大な科学の進歩を見るにつけ、不可能に近いことを可能にするためには、自分ができると信じなければならないことがわる。根拠がとぼしくても何かを信じる力があるからこそ、私たちは素晴らしいことがなしとげることができるのだ。

 

そして、この力は、たまにお化けの出現として私たちを迷わせることがある。しかし、どちらか一方が欠けてもいけない。これは驚くべきことをするための代償なのだ。

 

ということで、「幽霊」や「オカルト」というと引かれがちな昨今ではありますが、ここには「オープンマインドで未知の世界に進むぞ!」って力が隠れてるんで、そこを活かす方向に使えるといいですよねーってことですね。ちょっといい話ですな。

 

 

 

寝すぎも眠らなすぎも脳機能が下がっちゃうぞ!みたいな話

脳の機能が下がらない睡眠時間とは?」って問題を調べたデータ(R)が出ておりました。健康面については「寝すぎも眠らなすぎも体に良くない」というのが一般的な見解なわけですが、果たして脳機能についてはどんなもんかってことですな。

 

 

これは平均年齢75歳で認知機能に障害がほぼない100人を対象にしたテストで、全員の脳の働きと睡眠の質を約5年間にわたって追いかけたんだそうな。この調査で得られた傾向はわりとハッキリしてまして、

 

  • 1日の睡眠時間が5.5〜7.5時間の人は、アルツハイマーの初期症状が出ても、認知機能の低下は見られにくい

 

って感じでして、やはり脳機能においても睡眠のスイートスポットはがあるみたいっすね。普通に考えれば、寝すぎも眠らなすぎのどちらも体内に異常が起きてるサインかもしれないんで、こういった現象が見られるのも当然かも知れませんが。

 

 

研究チームいわく、

 

睡眠時間が短い人だけでなく、睡眠時間が長い人でも認知機能の低下が見られたことは、特に興味深いポイントだ。この事実は、重要なのは総睡眠時間だけでなく、睡眠の質が重要である可能性を示唆している。

 

私は多くの患者さんに『睡眠はどうか』と尋ねるが、たいていはよく眠れていないと答える。しかし、ここで睡眠の問題を治療すると、認知機能が改善するケースが少なくない。

 

 とのことで、脳を保ちたいなら睡眠の質に気を配るべし!みたいなとこが強調されておりました。まぁそうっすよねぇ。

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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