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今週末の小ネタ:キノコすごい説、友情はストレス対策に必須説、ハグの理想的な時間


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

ほんの少しのキノコでメンタルの悪化を予防できるのでは?説

キノコすごいんじゃないか説」は昔からあって、

 

 

みたいなデータを取り上げたことがございました。新たな研究(R)もまたキノコの話で、まず結論から言っちゃうと、

 

  • 1日に約5gのキノコを食べる人は、平均して、うつ病の症状を発症するリスクが31%低くなる……かも

 

みたいになります。5gといったら超少ないので、この基準をクリアするのは楽勝っすね。

 

 

これは24,000人以上のアメリカ人を10年以上にわたって追いかけた観察研究で、みんなの食生活とメンタルの変化を定期的に調べてだいたいの結論を出した内容になってます。その結論はすでに述べたとおりでして、研究チームいわく、

 

キノコ類には、人間が合成できないアミノ酸であるエルゴチオネインが最も多くふくまれている。この成分は抗炎症作用が強く、そのおかげで酸化ストレスのリスクが下がり、うつ病の症状も軽減されるのかもしれない。

 

とのこと。もちろん観察研究なんでそこまで明確なことは言えないんですけど、過去のデータも合わせて考えれれば、やっぱキノコはいいんだろうなーと思わせる内容にはなっておりましょう。

 

 

ちなみに、この研究では、さまざまな種類のキノコを区別してないので、シイタケがいいのか?それともマイタケがいいのか?みたいなところまでは不明。おそらくこのデータでもっとも消費量が多いのは、アメリカで一番メジャーなホワイトボタンマッシュルームなんでしょうが。

 

 

いずれにせと、キノコ類の1人前はだいたい約80gなんでで、週に1回ぐらいシイタケやらシメジやらを食べれば、なにがしかの良い影響は得られるんじゃないかと思うわけです。もともとキノコ好きなんで、これも良いニュースですなぁ。

 

 

 

何歳になっても友情はストレス対策に欠かせない説

最高の体調」では「友人は体に超いいよ!悪いことは言わんから作っとき!」ってとこを強調しております。なんせ近年は「孤独はタバコより体に悪い!」ってデータも出てるんで、近しい人を何人か作っておくが良いのは間違いないんすよね。

 


でもって、ベックマン研究所などのチームによる研究(R)も人間関係にまつわる話で、まず結論から申し上げますと、

 

  • 何歳になっても友情はストレス対策に欠かせないぞ!

 

みたいになります。どんな年齢になろうが、親しい人間関係はコルチゾール(ストレスホルモン)の低下に役立つよーって話ですね。

 

 

実験のデザインをざっくりメモっとくと、

 

  1. 62〜79歳の「高齢者」16名と、18〜25歳の「若年層」16名の計32名の女性に参加をお願いする

  2. それぞれの参加者は、友人(「親しい」会話相手)と見知らぬ人(「親しくない」会話相手)のいずれかとペアを組む

  3. それぞれのペア同士で、「自分にしか見えない図形を言葉だけで相手に伝える」ゲームをしてもらう

 

みたいになってます。そのうえで、全員の会話がどれぐらいスムーズに進んでいるかを数値化し、人間関係の良さと年齢によってどのような違いが出るのかをチェックしたら、結果はこんな感じになりました。

 

  • 若い女性のペアは、高齢の女性ペアに比べて、親しい相手とのコミュニケーションの効率が高い一方で、知らない相手とのコミュニケーションの効率は低い傾向があった

 

  • いっぽうで、高齢の女性ペアは、見知らぬ人にも抽象的な図形を素早く説明するのがうまく、全体的に会話が器用な傾向があった

 

  • どちらの年齢層でも、親しい相手と一緒に行動している人は、親しくない相手と一緒に行動している人よりも、一貫してコルチゾールレベルが低かった(つまり、ストレスがなかった)

 

ってことで、亀の甲より年の功と申しますかやはり歳を重ねた人ほどコミュ力が高い傾向があったものの、それ以上に友人の存在はストレス緩和に一貫して役立ってることがわかったわけですね。

 

 

研究チームいわく、

 

友情は生涯を通じて同じ効果を持つことがわかった。慣れ親しんだパートナーや友情がストレスを緩和し、それが年齢を重ねても維持されるのだ。

 

とのことでして、いくつになろうが友情はストレスをやわらげてくれるんで、ぜひ念頭に置いておいていただけると幸いです。

 

 

 

ハグの理想的な時間とかあるんでしょうか?問題

ハグの理想的な時間を調べたぞ!」っていう珍妙な実験(R)がおもしろかったのでメモっときます。

 

 

これはロンドン大学ゴールドスミス校の実験で、48名の参加者を対象にしたもの(みんな女性)。実験のデザインを簡単にまとめておくと、

 

  1. みんなでペアになってもらい、1秒、5秒、10秒の間隔でハグをしてもらう

  2. ハグのパターンは「背中で腕を交差させる」と「片手を首にまわし、もう一方を腰に回す」のパターン

  3. ハグの直後、3分後、6分後にそれぞれどのように感じたかを報告してもらう(「心地よい」「刺激的」など)

 

って感じになってます。ちなみに、この際に参加者はみんな目隠しをしてたそうな(視覚的なフィードバックを触覚に影響させないための処置で、別にヘンな意味合いがあるわけではない)。

 

 

で、結果はこんなふうになりました。

 

  • 5秒から10秒の長いハグは、短い時間のハグに比べて、よりポジティブなインパクトを与えやすかった
  • ハグの際の腕の位置は、相手の気分にたいした影響をあたえなかった
  • ハグのポジティブな影響は直後からあらわれ、その後は時間とともに現象していった

 

ということで、ハグは5〜10秒ぐらいにしとくといいよ!って感じっすね。まー、日本ではクラブでも行かない限りハグとかしないような気がしますが、あらためて「いろんなことを調べてくれる人がいるもんだなぁ……」って気分にさせられるデータでしたね。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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