バーゼル大学「人生の目標を達成しても幸福にはほぼ関係なし!他にやることがあるぞ!」
世の中には「いかにゴールを達成するか?」みたいな情報があふれております。このブログで言うならば、
みたいなエントリが代表的な例ですね。
ただし、ここで意外と見過ごされがちなのが、
- 幸福度が上がりやすいゴール設定とは?
という視点です。たとえば、「年収1億を目指す!」みたいなゴールを立てたところで、実際には年収アップと幸福の関係は無視できるほど小さいので、金を目標にしても幸福度アップには貢献しないわけです(別に年収アップを目指すのが悪いわけでもないですが)。
その他にも、「痩せる!」や「睡眠改善!」といった目標を立てる人は多いでしょうが、その時に「このゴール設定で幸福度は上がるのか?よりポジティブな感情が増えるのか?」というところまで考えたことがある人は少ないのではないでしょうか?
そこで近ごろおもしろかったのが、バーゼル大学による研究(R)です。これは937人の男女を追跡した観察研究で、研究チームは、全ての参加者に「どんな目標を持っていますか?」と質問。それぞれの目標を、本人がどれだけ重要視しているかを4点満点で採点してもらった上で、4年にわたって追跡調査を行ないました。
分析の結果、まずあきらかになったのは、以下の事実です。
- ゴールを実際に達成できたかどうかは、人間の幸福度にはほとんど影響しない
なんと、あなたが立てた目標をクリアできるかどうかは、個人の幸せの向上にはあんま意味がなかったんだそうな。現代では「ゴールを達せよ!」って声が多いので、この結果はちょっとおもしろいですね。
では、人間の幸福度と関係があるゴールとは、どのようなものだったかと言いますと、
- 達成できそうな目標を持っている数の多さ
だったそうです。どれだけ目標をクリアしたかは問題ではなく、実は「私のゴールは達成できそうだ!」と思えているかの方が重要だったらしいんですな。
この結果について、研究チームは言います。
達成可能なゴールの量は、幸福感の上昇と強い相関があった。これは、ゴールの達成しやすさが被験者にコントロール感をあたえ、自分の影響力の範囲を増大するからだろう。
このブログでは頻出ワードである「コントロール感」が、ここでも出てきましたね。
確かに、どんなに重要なゴールを設定しようが、いつまでも達成できなかったら気持ちがくじけるのは当然の話であります。その代わりに、「これならできる!」と感じる目標をいくつも持っておけば、それだけ将来に希望がわき、最終的な幸福度も上がりやすいでしょうからね。
ちなみに、ここで言う「達成できそうなゴール」ってのは、もちろんあなたの主観で決めて構いません。とにかく、自分自身が「これならクリアできるぞ!」と思えるかどうかが一番大事なので、具体的には、以下のような作業を行うといいでしょう。
- 「毎日野菜を800gずつ食べる」「週に2回は筋トレをする」「睡眠日記をつける」など、達成できそうな目標を少なくとも3〜5つは持っておく
- もし達成できそうな目標が見つからないときは、大きな目標を達成可能なレベルまで細かく分解する
達成可能なゴールの数を増やすほど長期的に楽観的な気持ちが生まれ、最終的には大きな目標のクリアにもつながるはずです。お試しあれー。