スマホで不幸にならないための方法はこれだ!という研究の話
ベストセラーの「スマホ脳」などを読むと、「スマホ怖い!すぐ止めよう!」みたいな気持ちになるわけですが、個人的には「でもスマホにも良いとこがいっぱいあるからなー」とか思うわけです。
そんな状況下、「スマホを完全に断ったらどうなるのか?」みたいなデータ(R)が出てて、おもしろかったです。
この研究は、619人の参加者を3つのグループに分けていて、それぞれに以下のようなスマートフォン使用ガイドラインを与えてます。
- 通常通りスマートフォンを使用するグループ
- すべてのスマートフォン使用を控えるグループ
- 毎日のスマートフォン使用を1時間削減するグループ
実験の期間は7日間で、そのあいだにどんな変化が出るかをオンラインで調査したんだそうな。
以下、その結果です。
- スマホを完全に控えるのは、即効性のある方法ではない。その一方で、スマホの使用時間を減らすと、持続的な良い結果につながりやすい。
- 実験から4カ月後の調査では、スマホ断ちをしたグループは1日のスマートフォン使用時間が約38分減り、1時間削減グループは約45分短かくなっていた。
- 両グループとも、スマートフォンの問題使用、抑うつ・不安症状が低下し、生活満足度と身体活動が向上した。ただし、これらすべての効果は、1時間削減グループのほうが大きく、4ヶ月後のフォローアップでも安定していた。
ということで、完全にスマホを控えるよりは、「いままでより1時間だけスマホの利用を減らす!」と決めたほうが、長期的に良い効果を得やすいらしい。これはなかなか示唆的な結果じゃないでしょうか。
さらに、この研究ではまた別の観点も出てまして、これがまたおもしろかったりします。
- スマホを1時間減らしたグループのなかで、もともと喫煙者だった人は、スマホを減らしたおかげで喫煙の量まで減った。
- 一方で、スマホを断ったグループは、喫煙量に変化が見られなかった。
スマートフォンの使用を控えめにしたら、なぜかタバコを吸う量まで減ったというおもしろい結果であります。
なんだか不思議な現象のようですけど、これについては恐らく、スマホの使用量を減らしたグループは「自分はスマホの使用量を自分でコントロールできるのだ!」という自信がついたのが原因ではないかと思います。スマホを完全に断ってしまうと人生のコントロール感が生まれないんだけど、「1時間だけ減らせばいい!」と考えることで自分の自制心に信頼が生まれ、タバコを吸いたい衝動にもうまく対処できたんじゃないか、と。
研究チームいわく、
毎日のスマートフォン利用時間を制限することで、より意識的かつ効率的なハンドリング能力が育まれ、「退屈しのぎ」の利用を減らすことができる。
さらに、スマートフォンの時間を制限することで、オフラインの活動やその他の楽しみのために時間を使うことができる。
とのこと。確かに、ダラダラとスマホを使う時間が減ることのメリットは一番大きそうですな。
ってことで、この結果を見る限り、以下のことが言えそうではあります。
- 完全にスマホを断つよりは、従来より1時間減らすだけのほうが幸福度は上がるし、自信はつくしで、よいことだらけらしい。
- スマホの利用時間を減らすことで、他にもよい影響を得られるらしい(運動の時間が増えたりとか)
まぁ現代でスマホを完全に断つのは不可能でしょうから、「1時間減らしてみよう!」ってのは現実的で良いガイドラインですよね。