一流スポーツ心理学者「他人の目を気にしたくないなら個人の哲学を作ろう!」」
このあいだ「人の目を気にしなくなる方法ってないもんですか?」ってご質問にお答えしまして、「『恥』の感情対策が基本中の基本ですよねー」みたいなことを書いたんですよ。人目が気になる状況ってのは、その背景に恥ずかしさの感情が隠れてるケースが多いもんですから。
で、その後で、スポーツ心理学者のマイケル・ジャーヴェイス博士のポッドキャスト(R)を聞いてたら、「つい他人の目が気になって行動できない……」問題について、また別の角度から対策を提示してくれてまして、これが非常によい感じでした。
ジャーヴェイス博士は、これまでオリンピック選手などのトップアスリートを助けてきた有名人で、「他人の目」問題にもかなりの知見を持っている先生です。それもそのはずで、アスリートの世界では、観客の反応が気になってパフォーマンスが出せなかったり、モチベーションを失ってしまったりといった事態が頻繁に起きるんですよね。その意味で、ビジネスの世界以上に「他人の目」問題への取り組みが大事だったりするんですよ。
とはいえ、他人の目が気になってしまうのは、人間の生まれ持った性質のひとつでもあります。私たちの脳内に存在する古代のシステムには、「部族内での地位が脅かされると生存できないかもしれない……」って恐怖が埋め込まれているので、つい周囲の目を恐れる心理が生まれるのは、ある程度は仕方ないことなんですよ。
なんとも難しい問題ですが、ここでジャーヴェイス博士は「もっと自己認識を深める必要がある」と提案をしています。博士の言葉を引用すると、
本当に他人の目の恐怖を克服したいのであれば、もっと自己認識を深める必要がある。多くの人は、自分が何者であるかを大まかに把握して生活しており、基本的にはそれで十分だ。しかし、人の意見を気にせず、自分のベストを尽くしたいと思うなら、自分が何者であるかについて、より強く、より深く認識する必要がある。
これは「最高の体調」でも見た「価値観の確立」に似たポイントでして、「自分はどのような人間か?」がはっきりとわかっていれば、たとえ周囲から変な目で見られたとしても、ぶれずに行動することが可能になるよねー、みたいな考え方です。確かに納得できる考え方っすね。
そこで博士は、「個人の哲学を作ろう!」と提唱しておられます。「個人の哲学」っては、あなたが持つ価値観を明確にし、その価値観を文章に変換する作業を意味します。具体的には、自分自身に以下のような質問を投げかけてみましょう。
- 私が最高の状態にあるとき、自分の思考と行動の奥にはどんな信念があるだろうか?
- 私と同じような特徴や資質を持つ人には誰がいるだろうか? その資質とは具体的にどのようなものだろうか?
- 自分の好きな言葉は何だろうか?
これらの質問に答えつつ、「自分」という人間を一言で表せるようなフレーズや文章を考えてみましょう。私だったら「陰キャの内向オタク」みたいな感じですね。「そんな自虐的なフレーズでいいの?」と思ったかもですが、私は別に「内向」も「陰キャ」もネガティブに捉えていないので、これでよいのです(笑。
いわば「座右の銘」とか「キャッチフレーズ」に近い考え方ですが、別に気の利いた言葉でなくとも構いません。自分の価値にもとづいていれば、「楽しく生きたい人間」や「常に新しい知識を求める人間」ぐらいの簡単なフレーズでも十分な効果は出ますんで。
でもって、できあがったフレーズは、紙やスマホに書き留め、おりにふれて読み返しましょう。そんな単純な行為の繰り返しが、少しずつ他人の目を気にしないメンタルを育ててくれるはずであります。
非常にシンプルな考え方ですが、この手法は、NFLの選手やフォーチュン50社のシニアリーダーたちも採用しており、大きな成果をあげているとのこと。周囲の目が気になる方はお試しをー。