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「やるべきことを忘れちゃった!」を防ぐために欠かせない3つの考え方

 

 

やらねばならないことを忘れてしまった!」という問題は誰にでもあるでしょう。たとえば、

 

  • 仕事を終えたら運動しようと決めていたのに、作業に忙殺されるうちに予定を忘れてしまった!
  • クライアントに電話して会議の予定を決めると約束したのに、気がついたら時間が過ぎていた!
  •  コーヒーをわかすあいだにメールのチェックをしていたら、気づいたときにはお湯が冷めていた!
  • なにかをしようと思って会社を出たはずが、建物を出た瞬間になにをしようとしていたのかを思い出せなくなった!

 

みたいな問題ですね。日常の軽いうっかりから、仕事の大きなトラブルまで、私たちの生活に必ずついてまわる問題であります。このような脳の働きは、将来の行動に対する記憶なので、学問の世界では「未来記憶(Prospective Memory)」などと呼ばれております。

 

簡単に言えば、過去ではなくて未来にすべきことを覚えておく記憶力のことで、この能力がないと、私たちが日常の仕事の大半をこなせなくなってしまうのは自明でしょう。

 

 

将来の行動を忘れていたら、友人との約束を破りまくることになるだろうし、未来のプロジェクトをこなすこともできなくなりますからね。 要するに「未来記憶」ってのは、ライフスキルのひとつとして欠かせないものなわけです。

 

 

こうなると、「未来記憶ってどう鍛えればよいの?」ってところが気になりますが、ハイデルベルク大学などのチームが、おもしろい実験(R)をしてくれておりました。

 

 

研究チームは、ドイツ人の男女250人を集め、「これから5日間のあいだに、どれぐらい未来記憶を使い、そのうちどれを実際に完了したかを記録してくださいねー」と指示。そのうえで、みんながどんな風に未来記憶を維持しているのかを調べ、なかでも将来にすべきタスクの達成率が高い人の特徴を抜き出したんだそうな。

 

 

結果、将来のタスクを達成するのがうまい人には、以下のような作業をやっていたそうな。

 

  1. 外部の記憶補助ツールを使用する:目で見て使えるリマインダーを使ったり、ToDo系のアプリを使ったりといったやつ。これは言わずもがなの話なので、詳しくは割愛します。とりあえず、「大事な作業の達成率をグンと高める『連想リマインダー』テクニック」などが参考になるでしょう。



  2. 意図の重要度を高める:自分が将来にやろうとしている行為を、意識して「これは重要なのだ!」と言い聞かせる手法。この作業が大事なのは当然で、「この作業は重要だ!」と認識すれば、そのぶんだけ記憶に残りやすく、最終的に実行する可能性も高くなりますからね。

    意図の重要度を高める方法はいろいろありますが、最も手軽な考え方としては、「『仕事に意味が感じられない!』を解決するコロラド州立大学式『SPIRE』フレームワーク」あたりが参考になるでしょう。

    ちなみに、未来記憶の働きが強いひとは、自分が将来やりたいことの重要度を「100点満点」で評価させると、だいたい80点以上をつけるケースが多いそうな。その意味では、「このタスクの重要度を80点以上にするにはどうすればいいのか?」と考えてみるのもよさそうであります。



  3. 社会的な価値を気にする:未来記憶がうまい人は、自分よりも他人のことを考える傾向が強かったらしい。具体的には、「欲しいものを買うために貯金をする」みたいに自分だけが得をする行為は「社会的価値が低い」ものの、「ランチに友人を誘う」みたいな行為は「社会的価値」が高いといった感じにお考えください。

    要するに、「自分がやるべき行動に社会的な価値を加えるとモチベーションが上がるぞ!」みたいな話でして、まことにすばらしいですね。なので、なにか将来やりたいことがあれば、「これは誰の役に立つだろうか?」や「これを誰かの役に立たせることはできないだろうか?」と考えてみるのはアリでしょうね。

 

ってことで、未来記憶に優れた人が行っている3大戦略を見てみました。ちなみに、この研究では、他にもいくつかおもしろい知見が出てまして、

 

  • 記憶力が悪い人でも、上のような手法を意識すれば、未来記憶をアップグレードすることはできる。

 

  • 未来記憶を使いこなすために、性格の良し悪しなどはあまり関係がない。

 

ってことだそうです。簡単に言えば、上記の3つのポイントさえ押さえていれば、もともとの記憶力が悪かろうが、性格にどれだけの難があろうが、とりあえず「将来やるべきこと」を忘れる確率は格段に低くなるよーってことですね。こちらもちょっと希望の持てる報告ではないでしょうか。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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