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2大メンタル改善テク「リアプレイザル」と「第三者視点」には効果の違いがあるの?

 


このブログでは、効果が高いメンタル改善テクニックとして、

 

  • リアプレイザル

  • 第三者視点

 

という2つの手法をよく取り上げているわけです。ざっくり内容をおさらいすると、

 

  • リアプレイザル:ネガティブな出来事を、よりポジティブに解釈し直すこと。例えば、友人から悪口を言われたあとで「まぁ彼にも何か嫌なことがあって、それを吐き出したかったんだろうな……」と思ってみたり、テストで悪い点を取ったあとで「次のテストの前に改善すべき点がわかったぞ!」と考え直したり、

 

  • 第三者視点:ネガティブな出来事を、自分の視点(FPSみたいな視点)から思い出すのではなく、友人や同僚のような他者の視点、または上空の高い位置からの視点などから観察しているかのように想像すること。これによって、嫌な出来事の「全体像」を見ることができ、自分のネガティブな感情や思考を、より広い視点から理解することができる。

 

みたいになります。どちらもストレスを感じる出来事に対処するのに最も効果的なテクニックの1つと考えられていて、これらの手法を使うことで、ネガティブな感情の減少、モチベーションの改善、人間関係の改善といったメリットを得られることがわかってたりします。私は、どちらかと言えば「第三者視点」を使うことが多いですが、日常的に両方とも愛用してますね。

 

 

でもって、新しい調査(R)は、この2大メンタル改善テクニックに、効果の違いがあるのかをチェックしてくれていて勉強になりました。どちらもメンタル改善の評価は高いが、その効果の出方には違いがあるんじゃないかという問題であります。

 

 

これは462名の男女を対象にした実験で、まずはみんなの楽観性レベルなどを測定した後、みんなに最近起こったネガティブな体験を思い出して、その内容を細かく文章で描写するように指示。その後、全員に以下の4つのテクニックのうち、どれか1つにランダムに割り振ったらしい。

 

  1. ネガティブな体験を一人称の視点で思い返す(つまり、ネガティブな記憶を再体験してみる)

  2. 第三者的の視点からネガティブな体験を思い返す(第三者視点テクニック)

  3. 普通にネガティブな体験を思い出し、細かく振り返ってみる(みんなが日常的にやってるタイプの記憶の思い出し方)

  4. ネガティブな体験をポジティブに解釈し直す(リアプレイザル)

 

そのうえで、この実験では、以上4つのテクニックを使うことで、自分の感情や「人生の意味」にどんな違いが出るのかをチェックしたんだそうな。

 

 

「人生の意味」ってのは意味がわかりにくいと思いますが、ここで研究チームは、「人生の意味」を3つの側面に分類しております。

 

  • 一貫性:自分のネガティブな体験について「理にかなっているなー」と感じること。
  • 目的:人生全体に明確な目標を持っていると感じられること。
  • 重要性:自分の人生が重要で生き甲斐があると感じること。

 

これらの要素が人生の幸福に欠かせないのは間違いないところで、ポジティブな感情だけでなく、「人生の意味」も改善されたかどうかをチェックしたわけですね。

 

 

で、結果はこんな感じになりました。

 

  • ネガティブな体験で味わった感情が強い場合は、リアプレイザルよりも、三人称視点から嫌な体験を振り返った方が、「一貫性」と「重要性」の要素が高まり、感情の状態も改善された。

 

  • しかし、ネガティブな体験で味わった感情が弱い場合は、三人称視点よりも、リアプレイザルを使ったほうが「一貫性」と「重要性」の要素が高まり、感情の状態も改善された。

 

ということで、以上の話をまとめてみると、

 

  • 強度が低いネガティブな体験に対処するためには、リアプレイザルを使ったほうがより有効かも

 

  • 強度が高いネガティブな体験に対処するためには、第三者視点を使ったほうがより有効かも。

 

みたいになります。メカニズムはよくわかりませんが、ネガティブな体験が強い場合は、第三者視点で距離を置きながらネガティブな体験を振り返ったほうが、より大きな一貫性と重要性をもたらすものの、ネガティブな体験の強度が低い場合は、これの逆転現象が起こり、リアプレイザルのほうが有効になるらしいんですな。

 

 

そうなると、日常の細かいストレスにはリアプレイザルを使い、たまにめっちゃ嫌なことがあったら第三者視点を使ってみる……みたいな使い分けがいいのかもしれんですなぁ。ちなみに、それぞれのテクニックの使い方については、以下をご参照ください。

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。