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今週半ばの小ネタ:筋トレ、本当に追い込めてる? 人付き合いのしすぎは体に悪い? 隣に座る人でパフォーマンスが変わる?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

  

みんな自分が思うより筋トレを追い込めてないんじゃない?問題

筋肉を育てるためには、自分に筋肉にしっかり負荷をかけなばならないのは当然の話。しかし、新たなメタ分析(R)では、

 

  • みんな自分が思うより筋肉をいじめられてなくないか?

 

って疑惑を提示していておもしろかったです。みんな「今日は筋肉を追い込んだなー」と思っているけど、実際にはそうでもないのでは?って話ですな。

 

 

この研究は、過去の筋トレ研究から18件のデータをまとめたもので、合計368人の参加者のデータをチェックしたんだそうな。ここで取り扱った実験では、だいたい参加者に好きな筋トレの負荷を選ばせていて、「このエクササイズで10回1セットを行ってください。好きな重量を選んでくださいねー」と指示したり、「自分で『良い筋トレができたなー』と思えるような重量を選んでくださいねー」と指示したりしております。

 

 

で、結果はこんな感じでーす。

 

  • 多くの人は、1RMの53.14%ぐらいの負荷を選んでいた。

 

1RMってのは自分の筋トレ限界のことで、くわしくは「自分の筋トレ限界(1RM)を簡単に知る方法はないのか?という実験のお話」をご覧ください。つまり、この結果を簡単に言い換えると、

 

  • みんな筋肉が成長しづらい軽い負荷を選ぶことが多い!

 

ってことです。10レップのセットで50~55%の1RMの負荷を選ぶと、ほとんどの人は、筋トレで10レップを予備として残すことになり、それだと筋肉は成長しづらいよなーって感じですね。

 

 

そんなわけで、みんな自分では「ガッツリ鍛えたぜ!」と思っていても、実際にはしっかり負荷をかけられていないケースは多いのかもしれません。この問題をふせぐためには、やはり細かく筋トレの記録を取るしかないでしょうなぁ……。

 

 

 

 

人付き合いのしすぎは体に悪い?

他人と付き合うのは体にいいよ!ってのは常識的な話。ヒトはグループのなかで進化してきたので、他者とふれあわないと、どうしても心身に不調が出てきちゃうんですよ。

 

 

とはいえ、なにごとも過ぎたるはなんとやらでして、新しいデータ(R)では、「人付き合いのしすぎも体に悪いぞ!」って結論になってておもしろかったです。

 

 

これは2つの観察研究で構成された研究で、概要はざっくりこんな感じです。

 

  • ひとつめは37カ国から集めた392,195人のデータを使い、友人や家族と付き合う回数と健康レベルを比較している。その結果、他人とふれあう回数が増えるごとに健康になる傾向が確認されたが、社会的な接触の頻度が週に数回になったあたりからプラス効果はほとんどなくなり、健康の改善効果はなくなった。

 

  • ふたつめは49,675人のデータを使い、みんなのコミュニケーションレベルと死亡リスクの関係を14年の追跡調査でチェックしている。その結果、「毎日のコミュニケーション」は「月1回のコミュニケーション」と比べて健康や長寿の効果と相関しないし、「1日に1回以上の交流頻度」を超えると、逆に死亡リスクが高まる傾向も見られた。

 

ということで、孤独が健康に悪いのは当然ながら、他人と付き合いすぎるのも良くないのではないかって結論であります。

 

 

データを見ていると、だいたい友人と1日に何度も接触している人に死亡率の上昇が見られてまして、

 

  • 友人、同僚、隣人との接触頻度をゼロから月1回に増やすと死亡リスクが10%減少する。
  • しかし、接触頻度を月1回から毎日に増やすと、死亡リスクが8%増加する。

 

みたいな感じになってます。人付き合いを増やし過ぎちゃいけない理由は謎ですが、もしかしたら過剰なコミュニケーションは、逆に対人ストレスを増やす原因になるのかもですなぁ。

 

 

 

隣に座る人でパフォーマンスが変わる?

隣に座る人で自分の仕事ぶりが変わるぜ!」ってデータ(R)が出ておりました。会社で誰の隣に座るかによって、仕事のパフォーマンスが上下するんだよーって話しですな。

 

 

これはIT系企業の従業員2,000人ちょいを対象にした調査で、2年間にわたって以下のデータを集めたんだそうな。

 

  • 生産性=1つのタスクを完了するのにかかる時間

  • 有効性= 1つのタスクを自力で解決できたかどうか
  • 品質=仕事ぶりに対するクライアントの満足度。

 

でもって、以上のデータをひっくるめたら、結果はこんな感じになりました。

 

  • 生産性がめっちゃ高い従業員が隣に座ると、その人のパフォーマンスが上がる。

 

  • 逆に生産性が低い従業員が隣に座ると、その人のパフォーマンスは下がる。

 

ってことで、隣に誰が座るかによって、こちらのパフォーマンスに影響が出るらしい。データ上では、だいたい隣の人のパフォーマンスの約10%が波及するようでして、これはなかなか見過ごせないレベルの効果っすね。

 

 

まー、会社で「生産性が高い人の隣に座りたいです!」と主張するのは難しそうですが、できるだけパフォーマンスが高い人の近くにいたいもんですなぁ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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