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今週末の小ネタ:男の体臭とモテ、カップルの仲を改善する「正しい感謝」、マッチングアプリでみんなどこを見ている?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

男の体臭はどこまでモテにつながるか?

フェロモンでモテる!って話がうさんくさいのは常識ですが、一方では「多くの生き物は体臭で相手を判断している」って証拠があるわけです。例えば、オスのマウスなんかは、他の個体の体臭をもとに「こいつは強いから近づかない!」みたいな判断をしてることがわかってるんですよ。フェロモンの話はさておき、多くの生物が、体臭を手がかりに複数の判断を行っているのは間違いなさげ。

 

 

で、新しいデータ(R)も体臭の話で、「競争に勝った男の体臭は魅力的になるのか?」をチェックしてます。動物の世界では、競争に勝ったオスの匂いにメスが強く惹かれる現象が確認されてるんですけど、同じようなことが人間でも起きるのかどうかってことですな。

 

 

そこで、研究チームは、MMAのジムから40人の男性ファイターを募集。それぞれの選手に、30分の試合に参加してもらったあとで、彼らが着ていたTシャツを冷凍保存したんだそうな。

 

 

でもって、その後、解凍したTシャツを学生ボランティアの女性に嗅いでもらったら、結果は以下のようになりました。

 

  • 試合後のTシャツは、すべて臭いの快感、魅力、強さがすべて低下したが、一方で男性性はより上昇した。つまり、競争に勝っても負けても汗は普通に臭くなるが、同時により男っぽい臭いになるわけですな。

 

  • しかし、試合に負けた男性の体臭は「より臭い!」と判定される傾向があった。

 

ということで、ざっくりまとめると、誰かと戦うと体臭はキツくなるが、その戦いに負けた男は、勝者よりもさらに臭くなるってことですね。

 

 

まぁ小規模な試験なので結論は出しづらいですけど、このデータが正しいとすれば、

 

  • 試合に勝ったからといって魅力的な体臭になるわけではないが、試合に負けた男は体臭がさらにヤバくなる。

 

ということでして、負け犬は非モテ要素がさらに増してしまうのかも?とは言えるかもですね。うーん、つらい。

 

 

 

カップルの仲を改善する「正しい感謝」とは?

「恋愛の相手とうまくやるには感謝の気持ちが大事」ってのは誰でもわかる話。相手からなんも感謝されなかったら、どんなに愛情があってもいやになっちゃいますもんね。

 

 

ってことで、新しい研究(R)は、「どんな感謝をすると効果がマックスになるのか?」を調べてくれてていい感じでした。これは111組のカップルを対象にした調査で、

 

  1. みんなに「相手に親切をしてもらったら感謝の気持ちを表に出してくださいねー」と指導。

  2. その後、14日間暮らしてもらい、みんながお互いの感謝をどう思ったかを尋ねる。

  3. カップルの会話を撮影した動画を第三者に見せ、どのような感謝が効果的に見えたかを採点してもらう。

 

みたいになってます。主観と客観の両方から、どのような感謝が良いのかをチェックしたわけですね。

 

 

で、結果はこんな感じになりました。

 

  • 「あなたのおかげで私の希望がかなえられました!問題が解決しました!」というタイプの感謝は、お互いの関係性を良くする効果があった。

 

  • 「あなたは私のためにがんばってくれました!大変でしたね!」というタイプの感謝は、特に前向きな効果が見られなかった。

 

こうして見ると、例えば、「君が手伝ってくれたおかげで仕事が間に合った!ありがとう!」って感謝は良いんだけど、「君がここまで手伝うのは大変だったでしょう。ありがとう!」って感謝は効果が低いかもしれないわけですね。

 

 

研究チームいわく、

 

カップルが、お互いに自分の要求をどれだけ満たしたかを伝えることが、感謝をする際にはとても重要であり、2人の幸福度も改善するメリットも大きい。

 

とのこと。これはカップルだけでなく、ビジネスの世界でも通じる話かもですなー。

 

 

 

マッチングアプリでみんなどこを見ているのか?

こないだも見た通り、たいていの人は「自分と似た人と付き合う!」みたいな結果が出てるんですよ。ほとんどの人は、年齢、ルックスのレベル、性格など、特定の特徴が一致する相手と付きあう傾向があるわけですね。

 

 

で、新しいデータ(R)も似たテーマを扱っていて、「マッチングアプリでも同じ現象が起きるのか?」ってところを検証してくれてました。この間の調査は、おもに性格のマッチングを調べてましたが、ここではルックスや年齢の類似についても調べてくれていて、なかなか参考になります。

 

 

具体的には、研究チームは500人のボランティアを募り、Tinderによく似たマッチングアプリを使うように指示。全員のビッグファイブを調べたうえで、16人の恋愛候補とマッチするかどうかを判断させたんだそうな。

 

 

その結果がどうだったかと言いますと、

 

  • 最も重要なのは年齢で、みんな自分の年齢と近い人とマッチングしやすかった。

 

  • 性格は年齢よりも重要ではなかったものの、多くの人は、協調性と開放性が一致するプロフィールを好んだ。

 

  • 外向性、誠実性、神経症傾向についてはマッチングが成立しなかった。

 

  • ルックスについては、みんな意外と自分のレベルとは違う相手でもマッチングさせた。

 

だったそうです。協調性と開放性のマッチングが大事ってのは前回にも出ていた傾向ですけど、それ以外は関係が見られなかったのがおもしろいですね。

 

 

前回のデータと食い違いが出た理由は謎ですけど、これはTinderタイプのマッチングアプリを使ったのが原因なのかも?って気もしております。

 

 

Tinderみたいに写真ベースでプロフの重要度が低いアプリってのは、短期的な付き合いを求める心理が上がるので、年齢の重要性が上がり、逆にルックスの選好はゆるくなるのかもしれませんなぁ(拒絶された場合の心理的コストが低いので)。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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