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健康な肉体を保つのに必要な筋トレの『最小量』ってどれぐらい?

 

筋トレの最小量ってどれぐらい?」って疑問は昔からよくあるテーマのひとつ。筋トレはボリュームが最も大事なのは確実なんだけど、「筋肉を成長させるには最低どれだけのトレーニングが必要なのか?」って問題については、まだよくわからないところが多いポイントなんですよね。

 

そこで、ニューファンドランド記念大学などの先生方が、この問題に関する既存の研究(R)をレビューしてくれていて勉強になりました。

 

細かいことはさておいて、まずは結論から言ってしまうと、

 

  • 筋トレが嫌いな人は、以下のトレーニング内容でも大きなメリットを得ることができる。

    • 筋トレのペースは週に1回でOK

    • 1回あたりのトレーニングは1セットだけでOK
    • 1セットは6~15回の動作を目指せばOK

    • 1RM(1回で挙げられる最大の重量)の30~80%の重さを使えばOK

    • スクワット、デッドリフト、ベンチプレスのような多関節を使うエクササイズを行う。

 

という感じになります。1セット6~15回の筋トレを週1でも、筋力と筋肥大はそれなりに改善するらしい(もちろん、これでめっちゃ筋肉が育つわけじゃないですが)。これはかなり最小量っすね。

 

まぁ、このレビューをチェックする際にも注意点はありまして、

 

  • どれも8〜12週間のデータをもとにしているので、それ以上長く筋トレを続けた場合は、もっと筋トレの量を増やす必要があるかもしれない。

 

  • 残念ながら今の時点では、筋トレに関する文献は、それぞれの研究内容に違いがありすぎて、有意義に組み合わせることは不可能。なので、メタ分析を行うことができない。

 

ってあたりは心に留めておきたいですね。最小量の筋トレでも長くやってればプラトーに達するだろうし、そもそも今回の結論がどこまで正しいかも、そこまで自信が持ちづらいところではあります。

 

ただ、今回のレビュー論文に有利な話としては、以前にも週1回の筋トレについて調べた、約15,000人を対象とする研究(R)があるところですね。この研究は、Fit20というオランダのルフィットネス企業のデータを分析したもので、この会社が提唱するトレーニングってのは、

 

  • 週に1回だけ、筋トレマシンを使って6つのエクササイズ(チェストプレス、プルダウン、レッグプレス、アブドミナルクランチ、バックエクステンション、ヒップローテーション)を行う。

 

  • 各エクササイズとも、1セット4~6回ぐらいで限界がくるレベルの重量を選び、1セットだけを行う。

 

  • エクササイズの際は、動作を止めずにゆっくりと10秒ずつかけて行う。エクササイズ間の休息は約20秒。

 

  • 負荷はセッションごとに調整され、4~6回で限界が来ないようにする。

 

みたいになります。割と高負荷なスロートレーニングですが、基本のエクササイズを週1だけ行うところは今回のレビューと似てますね。

 

でもって、研究チームが、レッグプレス、チェストプレス、プルダウンのトレーニング負荷を分析したところ、どれもほぼ同じパターンを示しまして、

 

  • 約1年間まではトレーニングの負荷が急激に増加するが、その後は一気にゆるやかになる。

 

  • 1年後、典型的な参加者は、最初より約30パーセント強くなっていたが、7年後の同じ数字は約50パーセントだった。

 

  • 進歩の速度と1年後のプラトーは、年齢や性別を問わず同じだった。

 

みたいになります。こうして見ると、やはり週1&1セットのトレーニングでも十分に有効だと言えそうっすね。

 

なにせ、たいていの人は、成人後に筋力が1年に約1%ずつ低下し始め、60代以降になるとさらに低下しますからねぇ。この問題を防ぐためには、週1&1セットのトレーニングでもやらないにこしたことはないでしょう。

 

まだ謎の多いテーマではありますが、とりあえず現時点では、最低限の筋力レベルを維持するためには「1回1セットのトレーニングを週1でもOK!」ぐらいに考えておいても良いのかもですな。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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