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【質問】 HIIT(ヒート) 実は効果がないって本当ですか?

 


 こんなご質問をいただきました。

 

HIITトレーニングには効果がないと言っている記事を見かけました。HIITには言われているほどダイエット効果はないし、健康の効果もランニングとかと大差がないというのですが、パレオさんはどう思いますか?

 

ということで、HIITって実は言うほど意味がないんじゃないか?ってお尋ねです。まぁ特定の手法が盛り上がれば、必ずカウンターが出てくるものなんで、これもしかたないところでしょう。

 

 

HIITの正味な効果については、過去にいくつかエントリを書いてまして、

 

 

といったあたりが参考になるでしょう。 要するに、HIITは魔法の運動法と言うわけではなく、普通の有酸素運動でも、ちゃんと時間をかければ効果はほとんど変わらないと言っていいです。

 

ここで大事なのは、 運動の効果は「強度 × 時間」でほぼ決まる点で、HIITのように強度を高めると運動できる時間は短くなるし、 普通の有酸素運動のように運動の時間を長くすると強度は低くせざるをえないしで、 トレードオフの関係にあるんですよね。 つまり、HIITってのは「強度を爆上げして短時間で効果を出そうぜ!」っていうシンプルな考え方でしかないので、 とんでもなく脂肪が減ったり、 めちゃくちゃ体力がつく効果があったら逆に怖いといいますか。

 

でもって、さらに言えば、いまのHIITブームを見ていると、「HIITで効果が感じられない!」って人が出るのは当然のような気がしております。 それと言うのも、

 

  • 本人はHIITをやってるつもりでも、実際にはHIITになっていない人が多い

 

って現状があるからです。 その理由は大きく2つありまして、

 

  1. そもそもHIITはアスリートのために開発された手法であり、HIITをまともにやれる基礎体力がない人の方が多い

  2. HIITは「不快さマックス!」 の状態まで体を追い込まねばならないため、たいていの人は 実際は低い強度でやっている

 

といったあたりがあります。HIITってのは「ノーペイン!ノーゲイン!」の哲学が根底にありまして、 ちょっとでも楽をしたいような人が手を出せる手法ではないんです。 そのため、HIITに挑んだ人の多くは、HIITまでいかない中ぐらいの負荷の運動を短時間やるだけに終わっていることが多く、 それじゃあ効果が出るはずもないんですよ(もちろん何も運動しないよりはだいぶマシですが)。

 

実際のところ、HIITを適切に行った後は、膝を地面についてしばらく声が出せない状態になってなきゃおかしいはず。終わったあとで「 いやー 今日もしんどかったなぁ」 とか言えてる時点で、HIITができていない証拠だと言えましょう。 世の中には「ゆるHIIT」といった 運動法を提唱する人もいたりしますがいたりしますが、「バリカタにゅうめん」と言ってるに等しい謎フレーズだと申しましょう。

 

そのため、ガチでHIITをやると、 たいていは辛すぎてすぐに辞めてしまうはず。 それぐらいなら、自分が楽しめるレベルの有酸素運動を見つけて、長く続けられるようにする方が、よほどメリットは大きいでしょう。

 

事実、アオイワ州立大学の研究(R)では、「運動の楽しさ」について調べたうえで、 以下のような結果を出しております。

 

  • ほとんどの人は、HIITよりも中強度の運動の方に喜びや楽しみを感じる。
  • HIITを楽しめるような人は、心肺のフィットネスレベルが、同じ年齢の人たちの中で上位5% 位に入っている必要があると思われる(ここらへんはサンプル数が少なすぎるので何とも言えないですが)

 

つまり、HIITは、若くて運動が大好きな一部の人々には適しているかもしれないんだけど、大多数の人々にとっては不快なものなので、 続けるのは難しいのではないのか、と。

 

研究チームいわく、

 

HIITのような 高負荷トレーニングが、公衆衛生に誤ったメッセージを送ることを恐れている。このようなトレーニングを続けられる人は少数派であり、HIITを続けられるほど十分な活動をしていない。

 

それならば、日常生活に運動を取り入れ、生涯現役でいられるような運動の種類と量を 探した方が良い。

 

とのこと。 ほとんどの人は、本格的なHIITをこなせるだけの適切な身体能力を持っていないはずなので、「HIITが流行ってるぞ!」 と考えて、むやみに飛びつかないほうがいいかもしれません。

 

もしHIITが できるほどの身体能力がない場合は、 以下のような方法でも充分なので、この中から自分にとって快適なものをお選びください。

  • 低強度定常運動(LISS):ウォーキングやジョギングなど、強度が低く一定のペースで行う運動。 これを1日20~30分、週3日ぐらいの ペースでやるだけでも 心肺機能は発達しますんで。 というか、大抵の人はこれぐらいのレベルの運動を習慣化できていれば、 健康の維持については問題ないですしね。

 

  • 中強度定常運動: おそらく、いまジムなどで 指導されている「HIITクラス」は、 実はこの運動に当てはまるはず。40〜60分ぐらいのフィットネス・クラスで汗を流しているほとんどの人は、実際には中程度の強度でエクササイズを行っているだけだったりします。 もちろんこれが悪いと言うわけでは全くないので、「HIITの負荷には足していないから、 これを数十分やったぐらいではHIITと 同じ運動量にはならないんだな……」と 念頭に置いておけば問題ありません。

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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