MITの社会学者「 星占いが本当に当たるかどうかちゃんと調べてやったぞ!」
星占いが当たるのかどうか真面目に調べてみたぞ!というデータ(R)が 面白かったのでメモ。マサチューセッツ工科大学のジャクソン・ルー 先生が率いるチームが行った調査で、「魚座は愛情深い!射手座は自由奔放!」 みたいに、昔から先生の世界で言われてきた 考え方が 事実などを検証してくれております。こういう調査って、あれあまりやってくれる先生方が少ないので、貴重なデータになってるんじゃないでしょうか。
研究チームは173,709人という膨大な男女に協力を頼んで、 以下のようなチェックをしております。
- みんなの星座を調べる
- 全員のビッグファイブ性格特性も 調べる
- 上の2つのデータを 統計処理する
ビッグファイブは、ご存じのとおり現時点で最も信頼性が確立している性格テストのひとつ。 その結果が、果たして星占いと一致するのかを調べたわけですね。 シンプルながら膨大なサンプルを使っていて、実にありがたいことでございます。
その結果は 非常にわかりやすいもので、
- 相関関係はゼロ
って感じだったそうです。 要するに、 相手の星座を知っても、その人の性格については何もわからないってことですね。 このブログを読んでいるような人であれば、全く驚くような結果じゃないかもしれませんが。
参考のため、 もう少し細かい数字も上げておくと、
- ビッグファイブの「協調性」(どれくらい友好的で、協力的で、礼儀正しいかを示す指標)については、さそり座は平均5.61点、天秤座は5.63点。他の10星座のスコアもすべて5.61から5.63の間だった。
- 他の ビックファイブ(誠実性、 神経症傾向、外向性、開放性)についても 結果は同じで、すべての特性において、平均スコアは星座によって統計的に変化しなかった。
- この調査に参加した人の55%が 星占いを信じていた。 しかし、星占いを信じている人の間でも、星座と性格特性には関係がなかった。
みたいになります。星占いを信じている人のあいだですら、 性格との関係は見られなかったということですね。まぁ、たまたま生まれた日の太陽、月、惑星の位置が、 自分の性格に影響を及ぼす とは思えませんからねぇ。
ちなみに、先生術については、少ないながらも他にいくつか調査が あったりします。例えば、デンバー大学のチップ・ライカート 先生が、3万人以上のアメリカ人を 調べたところ、
- 人生の幸福度は、星座によって有意な差が見られることはなかった。
- 不倫率や離婚率も、12星座すべてで21%から22%の 間に収まった。
といった結果だったそうな。 つまり、星占いは 性格を当てられない だけでなく、人生の行く末も言い当ててくれないのだ、と。 もちろん、遊び程度で星占いを信じる分には何の問題もないですが、これによって性格を決めつけたり、他人に偏見を抱くようになったらやばいですね(前出の研究によると、 中国では割と乙女座差別が普通に広がっているらしい。知らんかったなぁ)。
念のため、その他の知見もいくつか並べておくと、
- ランド大学などのチームが 264人を対象にした研究(R)では、 星占いを信じる人は、 物事を批判的に思考する能力に欠けており、さらには 自分のことを特別だと思いたがる ケースが多かった。 このあたりの結果は、 スピリチュアルが好きな人たちにも、昔から観測されることですね。
- テキサス大学などが行った研究(R)では、 星占いを信じる人は、「ホロコーストはなかった!」「地球は平面なのだ!」「9.11事件はアメリカ政府の陰謀だ!」などと考える傾向も強い(R)。 このような相関は、批判的な能力のなさに起因するものと考えられる。
といった結果も報告されております。 なんだか散々な言われようですが、あくまで相関関係ということでご容赦ください。 このデータを持って、占いを信じる人たちを馬鹿にし始めたら、また訳がわからんことになりますんで。
さらに余談ですが、 サンタクララ大学 などの先生方が行った研究(R)によると、 自分と同じ誕生日、自分と同じ名前、自分と似たような指紋を持つ人と出会った場合、その相手を助ける確率は2倍になるそうです。 そう考えると、 星占いについても、「 私たちは同じ星座だから 似たような性格なのだ!」と認識することで、なんとなく社会的な絆が生まれたような錯覚を生み出すメリットがあるかもしれません。 もちろん、お互いが 星占いを信じている前提で話ですが。