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今週の小ネタ:食べ過ぎの原因は注意散漫だ!幸福度を上げたきゃ自分を主人公と思え!権力を持ちたきゃ自制心をアピールだ!


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

食べ過ぎの原因は注意散漫だ!説

食べ過ぎの原因は注意散漫だ!」って研究(R)がおもしろかったのでメモ。食べるあいだにスマホを見たりすると、「快楽的不足」って現象が起き、これが無意識の食べ過ぎをを促す可能性があるというんですな。

 

この研究は、122人の男女を対象にしたもので、昼食を食べる前に3つのグループにわけたんだそうな。

 

  1. 集中して食事をする
  2. 研究者が選んだ楽しい動画を見ながら食事(中レベルの注意散漫)
  3. 片手でテトリスをしながら食事(高レベルの注意散漫)

 

その後、参加者に「食事のあいだににどれぐらい気が散っていたか?」「どれだけ食事を楽しんだか?」「昼食にどれだけ満足感を感じたか?」を報告してもらい、さらに夕食の前にも再び連絡を取って「昼食後に間食をしたか?」「いつ間食をしたか?」「どのくらい間食したか?」を尋ねたとのこと。

 

その結果を分析したところ、

 

  • 昼食中に注意散漫になりまくった人ほど、満足度が低くなり、食事を楽しめなくなることがわかった。

 

  • 最も注意散漫だった人たちは、その後の間食の回数が増え、1食あたりの量も増加した。

 

  • 集中して食事をしたグループは、その後で間食をする傾向が最も低かった。

 

みたいな結果が見られたらしい。これと同じ結果は追加の調査でも確認されてまして、220人の男女に、1日7回ずつアンケートに答えてもらったところ、やはり注意散漫になった人ほど、自分がやっていた活動の楽しみが減り(思ってたよりも楽しめない)、その結果として、別の快楽をハードに求めるようになったらしい。

 

研究チームいわく、

 

仕事をしながらサンドイッチを食べたり、小説を読みながらぼんやりしたり、テレビを見ながらスマホを使ったりするような単純なことでも、食事の量を増やすだろう。

 

快楽的な消費の増大が快楽的な不足から生じることを知ることは、暴飲暴食、ソーシャルメディアの過剰利用、ギャンブルなど、社会的に問題となる行動への理解を深める。

 

とのこと。どういうことかと言いますと、

 

  1. 注意散漫な状態で食事をすると、食事に意識が向きづらい
  2. そのせいで、思ったよりも食事が楽しめず、「なんかもっと楽しいことをしたいな……」って気持ちがブーストする
  3. その気持ちを埋めるために、後でお菓子を食べたり、SNSにのめり込んだりと、問題のある行動が起きやすくなる

 

みたいな心理が発生するからです。なにかを集中しないでやることで本来の楽しみを得られず、そのせいでさらに別の快楽を求めちゃうわけっすね。これを研究チームは「快楽的不足」と呼んでおります。

 

もちろん、マルチタスクや食べ過ぎがいつも悪いわけではないんだけど、「気が散ってるせいで、いまやってることを十分に楽しめてないのではないか?」とは考えてみるのは良いことでしょうね。特に現代人は「アテンション・エコノミー」の世界で生きているんで、「マルチタスクで本来の快楽を減らしてないか?」と考えるのは大事でしょうなぁ。

 

 

 

幸福度を上げたきゃ自分を主人公と思え!説

幸福度を上げたきゃ自分を人生の主人公だと思え!」って研究(R)が出ておりました。「私は自分の人生の物語における主要な登場人物なのだ!」みたいな認識が、心理的な幸福をめっちゃ高めるよーみたいな話ですな。

 

これは3つの実験で構成された研究でして、だいたい概要は以下のようになります。

 

  • 研究1:358人の学生を集めて4週間おきにオンライン調査を実施。「自分の人生の物語において、自分が主要な登場人物であると感じられますか?それとも、脇役だと感じられますか?」ってところを測定し、さらにみんなの感情、生活満足度、自尊心などもチェック。

 

  • 研究2:326人の学生を集め、「自分の人生の物語の中で、私こそが主役だ!と感じられた時を思い出してください」と指示するグループか、「自分の人生で脇役のように感じた時を思い出して!」と指示するグループの2つの条件に無作為に割り振る。その上で、みんなの幸福度などをチェックする。

 

  • 研究3:298人の学生を集め、いま目指している目標を3つ挙げてもらい、その動機を評価。 続いて、みんなの欲求充足度、幸福度などを測定し、 最後に自分自身を人生の物語の登場人物に見立てた物語を書いてもらう。

 

こんな感じで、みんなに「自分の人生に主人公感を持っているか?」と尋ねて、その答えが幸福度と相関するのかを見たわけっすね。

 

では、それぞれの実験で、どんな結果が出たのかを見てみましょうー。

 

 

  • 「自分は人生の物語の主要な登場人物だ!」と感じている参加者は、幸福度が高く、基本的な心理的欲求(自律性,有能感,関係性)の満足度が高かった。 縦断的データからも、「自分は主役だ」と感じているかどうかは、最初の幸福度をコントロールした場合でも、4週間後の幸福度の高さを予測できた。

 

  • 自分が人生の主役だと感じられた時を思い出した参加者は、基本的な欲求が満たされた感覚と幸福感が有意に増加した。 逆に、自分が人生の脇役のように感じたときを思い出した参加者は、幸福度がガッツリと下がった。これらの効果は、自尊心やナルシシズムを統制した場合でも確認されたため、「自分を主役だと思うかどうか」が幸福の結果に独自に寄与していることが示された。

 

  • 自分を主要な登場人物とみなす参加者は、自分の価値観に沿った目標を追求する傾向が強い。 このような人は、内からわきあがるモチベーションのレベルが高く、外的なモチベーションのレベルが低かった。

 

ということで、「私は自分の人生の主役である」って感覚がある人は、他人の目を気にせず自分の価値観をベースに行動するモチベーションが高く、そのおかげで幸福度がアップする傾向もあるらしい。わりと良いことだらけっすね。

 

研究チームいわく、

 

これらの結果は、みなが自分自身を“人生の物語の登場人物としてどう思うか”が、その人の幸福感に影響を与えるという考えを支持するものである。 ほとんどの人は、「私は自分の人生を自分で動かし、外的な力(や他の人々)に振り回されるのではなく、物語の主役のように自分自身で決断を下す人間なのだと考えるとき、より統合され、完全に機能する自己となる。

 

そのような人は、自分のことを、より自律的で、より有能だと感じ、そのような基本的な心理的ニーズをみたすことによって、他者との関係の満足度も上がる。逆に、自分を脇役とみなす人は、これらの欲求が満たせないことが多く、自己の統合やウェルビーイングが低下する。

 

とのこと。人間には「自分で決めたい!」「優れた存在だと思いたい!」「他人とうまくやりたい!」みたいな基本的な欲求を持っていて、そこに「自分の人生の物語をどのように解釈するか?」が大きく関わっているわけですな。

 

ちなみに、もしいま「自分は脇役だ……」みたいな感覚が強い場合でも、「自然の力で人間の根本的な欲求を満たせるかも?」って報告がありますんで、こちらも参考にしてくださいませ。人生の主役感がなかったら、とりあえずキャンプなどに行ってみるのも良いかもしれませんな。

 

 

 

権力を持ちたきゃ自制心をアピールだ!説

自制心がある人は権力があるように思われるぞ!」って報告(R)が出ておりました。自分をコントロールできているように見える人は、仲間からの尊敬を集めやすく、そのおかげでより大きな力を与えられるらしいんですな。

 

この研究は、約3,500人を対象に7つの実験をやってまして、すごーくざっくりまとめちゃうと、

 

  • ある実験では、甘いデザートを拒否できた人を見た参加者は、「この人は、会社でも上のポジションについたほうがよいな」と思われた。

 

  • 他の実験でも結果は似ていて、セルフコントロールを見せた人ほど「この人は権力がありそうだ!」と思われ、実際により重要なポジションを任されることにつながっていた。このパターンは、節約、健康、読書など、さまざまなシチュエーションで確認された。

 

って感じになります。研究チームいわく、

 

権力があるように見えるかどうかは、その人物が行動の前によく考えているように見えるか、何も考えずに行動しているように見えるかどうかは関係がなかった。


私たちが権力を持っているように見せるのは、その人物が、自分の目標に沿って行動したかどうかだった。

 

自分を律することができる人は有能そうに見えるから、それによって「この人は社会で重要なポジションについているに違いない!」と思われやすいのはわかりますな。というわけで、会社の中で権力を持ちたい人は、「自分が決めたことをちゃんと達成している姿」を周囲にアピールしまくると良いかもしれません。


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