「繊細さんの人生が辛い理由」:ポジティブよりネガティブに敏感な理由とは?
当ブログで何度か取り上げているとおり、わたしはバリバリの人見知りなんですが、その指標の1つがHSPであります。
これは「過剰に敏感な人たち(Highly Sensitive Person)」の略で、環境の微妙な変化に気づきやすく、強い刺激に弱いキャラクターのこと。そのため、照れ屋、内向的、社会不安なんかと結びつきやすくなると言われております。
まぁ正式な診断名や疾患名ではないので、医療機関などで使われる概念じゃないんだけど、近ごろはHSPに関する研究も増えてますし、気質をあらわす考え方としては使えるんじゃないかと思ってたりします。
HSP研究の第一人者であるエレイン・アーロン博士によれば、この性格には遺伝的な要素が大きくて、全人口の15~20%の割合で存在しているとのこと。なかなかの量ですよね。
ってことで、近ごろまた新たにHSPの特徴を調べた研究(R)が出てましたんで、「我こそはHSP!」と思われん方は、内容をチェックしておくと良いでしょう。HSPに関する初の縦断的調査ですしね。
ここで研究チームが何を調べたのかと言いますと、
- HSPは、ネガティブな刺激(怒る上司とか無視する同僚とか)に対してのみ反応するのか、それともポジティブな刺激(家族の愛とか好きなアーティストのライブとか)に対しても反応性するのか。
ってことです。HSPの人がネガティブな刺激に弱いのは当然なんだけど、ならばその感受性の高さが幸いして、ポジティブな出来事は人一倍楽しめるのではないか?ってあたりを調べたわけです。HSPがポジティブに反応しやすいなら、それはHSPのメリットだと言えますもんね。
そこで研究チームは、男性129人、女性108人、ノンバイナリー2人を集め、みんなに以下の作業を指示しております。
- HSPテスト:「強い感覚の刺激に圧倒されやすいか?」「日常の変化に動揺するか?」などの文章で調べる。
- 日常生活の満足度: 「今日の生活にどの程度満足しましたか?」って質問に答えてもらう。
- 日常の自尊心:「今日は自尊心が高かった」という項目にどれだけ同意するかをチェックする。
- 日々のポジティブ/ネガティブ感情: 感情評価指標の13の感情項目(例:怒り、熱狂、幸福、孤独、リラックス)にどれだけ同意するか。
- ネガティブな出来事の評価: 「その経験に、どれぐらいダメージを受けたか」などの文章にどれだけ同意するかをチェックする。
- 出来事をどう受け止めているか: その日に起きた最もポジティブな出来事とネガティブな出来事のことを、どのように解釈して、どのように評価したか。
これを21日ぐらいやってもらって、HSPな人たちが世の中をどんな風に見ているのかを調べたわけっすな。
それで何がわかったのかと言いますと、
- HSPの人たちは、「ネガティブな出来事にだけ」強く反応する。
- HSPの人は、「より主観的に強い否定的な出来事」に対してネガティブな感情をより強く経験し、自尊心、自己効力感、生活満足度が低下する。
- HSPの人は、「より主観的に強いポジティブな出来事」が起きても、ポジティブな感情や生活満足度がより大きく増加したりはしなかった。
って感じだったそうです。つまり、HSPにとっては、悪いニュースは大きな問題を引き起こすのに、良いニュースはなんの役にも立たないわけでして、めっちゃつらい話ですね。というか、我が身を振り返ってみても、良いニュースよりも悪いニュースのほうが格段にインパクトが大きい印象がありまして、「そうですよねぇ……」みたいな感想を持ちました。
「メンタルヘルスの問題はなぜ起きるか?」って問題については、昔から「ネガティブな人生経験や環境(ストレス)+生まれつきの生物学的なもろさ(ダイアセシス)」の組み合わせが原因なのだとされてますからねぇ。その点で、HSPはダイアセシスのひとつになるんでしょうな。
というわけで、この話をざっくりまとめると、
- HSPが強い人は、他の人と比べて、ネガティブな感情を頻繁に強く経験し、幸福感が低い傾向がある。
- HSPが強い人は、自尊心や生活満足度が低く、メンタルヘルスの問題(不安、うつ、心的外傷後ストレス障害など)を発症するリスクが高い。
- HSPが強い人は、ネガティブな出来事に強く反応するが、よりポジティブな出来事からは恩恵を受けない。
って感じになります。このようなデータを見ていると、個人的には「もしかしたらHSPの人ほどマインドフルネス瞑想の効果があるのかもなー」みたいな印象を受けたりしました。マインドフルネスって、ネガティブな感情を軽減する一方で、ポジティブな感情を増加させやすいので、HSPには向いてるかもしれないんですよね(あくまで推測ですけど)。やっぱマインドフルネスもちゃんと続けるか……。