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VO2MAXを高めるための実践ガイド:寿命とパフォーマンスを向上させるトレーニングガイド



昨日、VO2MAXをチェックする方法を書いたので、その続きでVO2MAXを高める方法も書いておきましょう。

 

前回の話をざっくりおさらいしてみると、

 

  • VO2MAXは、1分間に体重1kgあたり何mlの酸素を消費できるかを表す単位のこと。

 

  • VO2MAXが高ければ高くなるほど寿命が延びるし、運動のパフォーマンスが上がる。

 

  • VO2MAXを測るには、適当なフィットネストラッカーを買って、自分の長期的な変化を見るのがおすすめ。1回の測定の精度にはこだわらないのが吉。

 

みたいな話でした。VO2MAXってのは、アンチエイジングと身体の健康をチェックするためのゴールドスタンダードなので、ぜひ気にしておきたいところであります。

 

ということで今回は、VO2MAXを高めるのに役立つトレーニングを見てみましょうー。

 

 

VO2MAXを高めるには?

VO2MAXを左右する多くの要因はいくつもありまして、年齢、性別、遺伝のように自分ではコントロールできないポイントも多め。 しかし、トレーニングの強度、種類、負荷、全体のボリュームなどを調整すれば、私のようなオッサンでもVO2MAXは十分に高められますんで、ご安心ください。

 

で、VO2MAXを高める方法はシンプルで、基本的には有酸素運動をやっておけばOK。とにかく適当に走りまくるだけでも、ある程度までVO2MAXは上がるはずであります。

 

が、それだと話が終わっちゃうので、VO2MAXを高めるトレーニングの定番パターンと、それぞれに守っておきたいポイントをいくつかまとめてみましょう。

 

 

  • とにかく持久力を高めるトレーニングをやってみるパターン:VO2MAXを向上させるには、ひたすら同じペースで走るトレーニングが普通に有効です。特にゾーン2(1時間以上にわたって普通に会話を続けられるぐらいの負荷)でのトレーニングは、心臓を強化し、有酸素性体力を高め、VO2MAXを向上させることがわかってますんで(R)。

    トレーニングの目安としては、このようなワークアウトを少なくとも週に1回は試してみてください。ゾーン2の有酸素運動は、1回あたり45分から3時間続けるのが基本です。

 

 

  • インターバル・トレーニングを試してみるパターン:インターバル・トレーニングは、短時間の高強度運動と休息を交互に繰り返すトレーニングのこと。メイヨークリニックなどの研究(R)によると、「インターバル・トレーニング単体」または「インターバル・トレーニング+ひたすら同じペースで走るトレーニング」は、どちらもひたすら同じペースで走るトレーニングだけを続けた場合よりもVO2MAXが高くなったそうな。まぁ最大心拍数に近いトレーニングの量を増やすほど心臓は強化されるので、インターバル・トレーニングでVO2MAXが増加するのは当たり前でしょう。

    インターバル・トレーニングを行う場合は、だいたい以下のガイドラインを守っていただくと良いでしょう。

    ・1~5分パターン:インターバル(全力で走る時間)を1~5分の時間だけ行う。インターバルの負荷は、RPEで8点を目指す。
    ・5~20分パターン:インターバル(全力で走る時間)を5~20分の時間だけ行う。この場合、インターバルの負荷は、RPEで6~7点を目指す。

 

 

VO2MAXを高めたい時は、上記のいずれかのガイドラインを守っていれば問題はないはず。どちらの手法を使うにせよ、トレーニングを始めたばかりの頃はどんな有酸素運動でもプラスに働くはず。ただし、体力がつくにつれて効果は鈍くなり、VO2MAXを上げ続けるためには、さらに高いレベルでトレーニングしなければならない点は同じであります。VO2MAXの伸びが悪くなったと思ったら、ワークアウトの時間を長くしたり、スピードを上げたり、負荷(坂道やウェイトベストを使ったりとか)を加えたりしてくださいませ。

 

ちなみに、VO2MAXが改善するまでにかかる時間は、いまほぼ運動をしていない人の場合は、定期的なトレーニングを始めてから4~10週間ぐらいでVO2MAXが体感できるレベルで改善するはず。一方で、普段から週3〜7ペースで運動をしている人だと、VO2MAXの向上が見られるまでに、数ヶ月〜数年がかかることもあるので、そこは覚悟しておいてくださいませ。

 

 

 

VO2MAX改善トレーニングの例

ってことで最後に、VO2MAXを鍛えるワークアウトの具体例を見てみましょう。

 

  • ワークアウト1.とにかく持久力を高めるトレーニングの例:ゾーン2の有酸素運動を45分~3時間ぶっ続けで行えばOK。トレーニングの種類は何でもよくて、ランニング、サイクリング、 水泳など、お好みのエクササイズをお使いください。

    1回のエクササイズ時間は、自分の体力レベルに応じて決めましょう。まだエクササイズに慣れていない人は、10分ぐらいからスタートしても構いません。でもって、そこから少しずつ時間を延ばすように意識し、だいたい1週間に5%程度の量を追加していくとよいでしょう。

 

 

  • ワークアウト2.インターバル・トレーニングの例:「RPE8で4分間の運動→3分間の休憩」を1セットとして、これを4セット行う。RPEの意味がわからない方は、「心拍計を使わなくても自分の運動レベルは判断できる!『RPE』のススメ」を参照のこと。インターバル・トレーニングの場合は、「呼吸が激しく、ほぼ会話はできないぐらいのペース。体感的にはかなりきつい」レベルを目指して運動するのがよし。

 

 

  • ワークアウト3.上級トレーニングの例:上記の運動のさらに上をめざすトレーニング。具体的には、RPE5~6で2分間の軽い運動→RPE8~9で1分間の全力運動」を1セットとして、これを8セット行う。これもインターバルトレーニングの一種なんですが、通常バージョンと違って完全に体を止めないので、そのぶんだけ心肺機能への刺激が大きくなりやすい。このトレーニングを行うかどうかは好みで決めてください(私はインターバルの間に完全に休むタイプの、普通のトレーニングをしております)。

 

 

まぁどのトレーニングでもVO2MAXは高まるんですが、基本的には「持久力を高めるトレーニング」と「インターバルトレーニング」を組みあわせて行うのが良いだろうとお考えください。どうぞよしなにー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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