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【質問】健康に超大事なVO2MAXをガッツリ把握する方法はないですか?


 

こんなご質問をいただきました。

 

VO2MAXを高めようとしているのですが、どこまで上げれば良いのかを知りたいです!

 

VO2MAXを上げたいが、具体的に参考になる基準はないのかという、実にシンプルな質問であります。

 

ご存じの方も多いでしょうが、ざっくりおさらいしておきましょう。VO2MAX(ブイオーツーマックス)ってのは、1分間に体重1kgあたり何mlの酸素を消費できるかを表す単位のこと。人間の体ってのは、 酸素を主な燃料源として運動のためのエネルギー(ATPとも呼ばれる)を作ってまして、トレーニングの強度が上がるにつれて、体が必要とする酸素の量も増えていくんですよ。ハードな運動をすれば、どんな人でもハァハァと息が上がるもんですが、これは、人体ががんばって酸素を取り込もうとしている状態っすね。

 

が、ここで問題になるのが、人体が1分間のあいだに使用できる酸素の量には限界があるところです。私たちは酸素を無制限に使えるわけじゃなくて、一定時間に一定の量しか取り込むことができないんですな。この限界の量がVO2MAXで、日本語では最大酸素摂取量などと申します。

 

当然、この数値が高ければ高いほど、心肺機能が高いって意味になり、運動のパフォーマンスも上がります。ガンガンに筋肉へ酸素を送り込めるので、ハードなトレーニングがより楽に感じられるようになるんですよ。そのため、VO2MAXってのは、心臓や血管の健康と、運動のパフォーマンス能力を計測するのに役立つ、ゴールドスタンダードな指標だと考えられております。

 

実際のところ、VO2MAXが高い人は心臓病になりにくいし(R)、寿命は長いし(R)、がんのリスクも低いし(R)で、良いことだらけなんですよ。健康とパフォーマンスの指標として、VO2MAXはぜひ高めておきたいところです。

 

 

VO2MAXはどう計測するのか?

VO2MAXを測定する方法はいくつかありまして、最も標準的なのは、ラボやスポーツ医学施設での負荷テストです。この検査では、特殊なフェイスマスクを装着して、エアロバイクやトレッドミルで走っているあいだの呼吸量を測定するんですよ。東京体育館とかでやってるやつです。

 

ただ、エリートアスリートでもない限りこれは現実的じゃないので、フィットネストラッカーやオンライン計算機を使ったほうが良いでしょう。VO2MAXを推定できるフィットネストラッカーとしては、 Apple WatchGarmin Fenix 7Garmin EnduroFitbit Charge 5Oura Ring Gen3などがあるんで、これをお試しいただくと良いでしょう。

 

もしトラッカーを持っていない場合は、オンライン計算機を使ってみるのもあり。現時点で割と精度が高い物としては、ノルウェー科学技術研究所が作成したものがありまして、表示される質問に答えていくと、おおよそのVO2maxを推定してくれます。大規模な集団の研究にもとづいた推測なので、それなりに信頼できるのではないかと。

 

もちろん、ラボテストに比べれば精度は落ちますけども、ここで大事なのは、「正確な方法で1回だけVO2maxを測る」よりも「定期的に同じ方法で変化を測定し続ける」ことなんで。能力のスナップショットよりも、自分の長期的な変化をチェックするほうが大事ですんで。

 

ちなみに、私の場合は普通にApple Watchを使ってまして、2021年のホワイトペーパー(R)などを読んでいると、「わずかなズレはあるものの、腕時計の推定値は実験室でのテストに非常に近いよー」って感じなので、まぁ良いのかな……と(体感としては低めに出てる気もするんですが)。

 

同じような検査はガーミンさんも行ってまして(R)、このラボテストだと最大95%の精度があることが示されたとか。これも気になる結果なので、 Garmin Enduroとか欲しくなりますなぁ。

 

また、私がかつて愛用していたオーラリングもVO2MAX機能がつきまして、同社のブログ(R)をチェックしてみると、心肺機能の研究で有名なマルコ・アルティーニ先生が関わっているようで、プロトコルは信頼できそうな感じ。オーラリングの推定値がラボテストほど正確ではないことを認めてますが、長期のトレンドを追うためには十分使えそうな気がしております。

 

 

 

VO2MAXの数値はどこを目指すべきか?

ちなみに、厚労省の基準だと、日本人のVO2MAXの平均値はこんな感じ。

 

性別/年齢 20代 30代 40代 50代 60代
男性 40 38 37 34 33
女性 33 32 31 29 28

 

これより数値が低い時は、ちょっとVO2MAXの改善に集中したトレーニングをしたほうが良いかもですね。

 

また、もっと目標となる基準が欲しい場合は、Garminが公開している基準データを参考にしてください。いま日本の平均よりも上を出している方は、以下の表の「超優秀」を目指すのも良いでしょう。

 

男性

年齢 超優秀 優秀 高い 標準
20代 55.4 51.1 45.4 41.7
30代 54.0 48.3 44.0 40.5
40代 52.5 46.4 42.4 38.5
50代 48.9 43.4 39.2 35.6
60代 45.7 39.5 35.5 32.3
70代 42.1 36.7 32.3 29.4

 

女性

年齢 超優秀 優秀 高い 標準
20代 55.4 51.1 45.4 41.7
30代 54.0 48.3 44.0 40.5
40代 52.5 46.4 42.4 38.5
50代 48.9 43.4 39.2 35.6
60代 45.7 39.5 35.5 32.3
70代 42.1 36.7 32.3 29.4

 

ってことで今回は、自分のVO2MAXを把握する方法と、VO2MAXの目標値を見てみました。といいつつ、私も最近は自分のVO2maxを追ってなかったので、あらためて使ってみようかと思った次第です。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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