「和食で脳が守られる？」一汁三菜でパーキンソン病を遅らせられるかもしれない理由
「和食がパーキンソン病を遅らせるかもだ！」って研究(R)が出ておりました。
ご存じのとおり、パーキンソン病ってのは、脳内のドーパミンって神経伝達物質が不足して、手足のふるえや筋肉のこわばり、バランスの崩れといった運動障害が出てくる病気であります。日本では1,000人に1〜1.5人ぐらいがかかっているとされ、年を取るごとに増えていく傾向があったりします。
なんとも恐ろしい問題ですが、ここで近年よく言われるようになったのが「腸の状態がパーキンソン病に影響してるんじゃないの？」って考え方であります。腸脳相関って言葉もあるように、私たちの脳は腸とつながっているんで、お腹の調子が頭の働きに影響する可能性は結構あるんですよね。
そこで新たに出た研究(R)では、「和食がめっちゃパーキンソン病の予防に良いのでは？」って結論になってて非常に良い感じでした。発酵食品や海藻、きのこ、野菜などを多く含む“ザ・和食”が、パーキンソン病の進行を遅らせるかもしれないというんですな。
これは中部大学を中心とした研究チームによる研究で、以下のような形で調査を進めたんだそうな。
- 対象：日本人と台湾人の腸内細菌データ
- 手法：ショットガン・メタゲノム解析（微生物のDNAを網羅的に調べる方法）
- 目的：腸内細菌の構成や代謝物と、パーキンソン病の運動症状の進行度との関連を調べる
簡単に言えば、日本と台湾の人々の食事データと腸内フローラを比べてみて、パーキンソン病の状態に違いが出るのかってのを調べたわけですね。台湾の人の食事ってのは、肉や油の多い高脂肪・高タンパクのスタイルで、野菜や発酵食品の摂取が比較的少ないみたいな感じです。決して体に悪いわけではないものの、腸内細菌にとってはあまりバラエティがなく、酪酸菌など神経保護に関与する菌が育ちにくい環境なのかもしれんですな。
で、何がわかったかと言いますと、
- 日本人の腸には、酪酸菌（ブラウティア菌、フィーカリバクテリウム菌など）が多く、これらが作り出す短鎖脂肪酸（酪酸・酢酸など）やポリアミン、ビタミンB群が豊富に存在していた。
って感じだったそうです。これらの物質は、どれも神経の保護作用や炎症の抑制作用があると言われているもので、脳内の神経細胞がダメージを受けるのを防いだり、細胞同士のコミュニケーションを円滑にする働きが期待されております。今回の結果では、これらの物質の量はパーキンソン病の進行度と逆相関していた、つまり「これらの物質が多い人ほどパーキンソン病の進行が遅い」傾向があったそうな。
一方、台湾人の腸内にはバクテロデスやアリスティペスといった別の菌が多く見られたらしいんですが、こちらは役割がまだハッキリしておらず、少なくとも神経保護にはあまりプラスではないかも？みたいな気がするわけです。
では、なんで和食が効くのかってことですが、よくよく考えてみると、実は日本型の食事って腸内細菌にとっては理想的なエサが多いんですよ。たとえば、
- 根菜類やきのこ → 食物繊維たっぷりで短鎖脂肪酸を作る元になる
- 納豆や味噌、漬物 → 発酵食品で腸内環境を整える
- 魚介類 → オメガ3脂肪酸やアミノ酸が豊富で神経保護に貢献する
- 海藻 → ポリフェノールやミネラルが腸粘膜をサポートする
つまり、こうした食材を日常的にとっていると、神経を守ってくれる腸内細菌が増えやすくなる、ってことですね。研究チームも、「日本型の食事は、腸粘膜バリアの維持や神経栄養の供給などを通じて、パーキンソン病の進行を遅らせる可能性がある」と言ってまして、とてもよろしいですね。
もちろん、今回の研究はあくまで観察研究でして、「日本人はこうだった、台湾人はこうだった」という比較からの推測なので、因果関係まではわからない点には注意が必要であります。もしかしたら、生活習慣や薬の使用、遺伝的な背景などが影響しているかもしれないし、腸内細菌の「相対的な比率」しか見ていないので実際の菌の数は不明ですしね。このへんは、今後の研究に期待ってところですが、とはいえ「和食が腸を整え、腸が脳を守る」ってのはありそうなんで、実践的な価値は十分あると思うわけです。
というわけで、私たちができる対策としては、まずは以下のようなポイントを意識すると良さそうです。
- 食物繊維を毎食しっかり（根菜、海藻、豆類、きのこなど）
- 発酵食品を習慣的に（納豆、味噌、ぬか漬けなど）
- 魚介類を週2回以上
- 加工食品や過剰な脂質はほどほどに
- できれば毎日和食を1食は取り入れる
こんな感じで、いわゆる「普通の和食」を意識することで、長い目で見て脳の健康が保護されるかもしれないと考えるとモチベーションも上がるってもんですな。「最近ちょっと食生活が乱れてるかも…」と思った方は、まずは一汁三菜に戻ってみるのがいいかもしれませんね。
