マグネシウムで眠れるようになるのか?睡眠に効きそうなマグネシウムはどれなのか?という研究の話
「マグネシウムでぐっすり眠れるようになるのか?」ってのを調べた研究(R)が面白かったので、内容をチェックしておきましょう。
この研究は、平均年齢41歳の男女153名(うち80%が女性)を対象にしたもので、4週間のランダム化比較試験になっております。参加者は「ここ4週間ぐらい眠りが浅い…」みたいな問題を抱えているものの、睡眠時無呼吸症候群などの明確な睡眠障害がない人だけを集めたらしい。つまり、“軽度の不眠”を抱える人たちに、マグネシウムが効くのかどうかをチェックしたわけですね。
実験では、「マグネシウムビスグリシネート(Mg 250mg+グリシン1523mg)」か「プラセボ(偽薬)」のどちらかを、みんなに就寝する30〜60分前に摂取し続けるように指示。そこから4週間後に、「不眠重症度指標(ISI)」というスコアを使って、不眠の程度を数値化したもんだそうな。ISIってのは「6点以上の変化」があれば、「明確に睡眠が改善した!」と判断される指標であります。
で、4週間後の結果がどうだったかと言いますと、
- マグネシウムを飲んだグループは、スコアが1.6ポイント改善した!
って感じだったんだそうな。数値では確かに改善しているんだけど、実際には「ちょっと良くなった気がしなくもない?」ぐらいの差でしょうか。
この結果をどう見るかってのは難しいんですが、個人的には「マグネシウムは睡眠にちょっと効くけど、劇的な効果は期待しないほうがいい」みたいな印象ですかね。実際、これまでの研究でも「マグネシウムで不眠が改善した!」ってデータはいくつかありますが、そこまで激しく数値が改善したケースは少ないので、今回の結果にも納得であります。
とはいえ、個人的には「睡眠に困っている人がマグネシウムを飲んでみる価値はあるなー」と思ってまして、それと言いますのもマグネシウムには、
- GABAの活性化:GABAは「リラックス系」の神経伝達物質で、マグネシウムはその働きをサポートすると言われている。
- NMDAの抑制:こちらは「興奮系」の神経回路で、マグネシウムはこっちの暴走を抑える方向に働く。
みたいな働きがあるからです。このバランス調整作用があるおかげで、「脳の過覚醒状態」がやわらぎ、結果として眠りに入りやすくなる……ってのは、やっぱ重要な働きだよなーと思うんですよ。なので、「マグネシウムでぐっすりだ!」みたいな期待さえしなければ、快眠のサポート用には使えるんじゃないかと。
あと、今回の研究がちょっとユニークだったのは、「マグネシウムビスグリシネート」を使った点でしょう。これはマグネシウム1分子にグリシン2分子がくっついた構造になっていて、
- 吸収率が高い(=体内にしっかり届く)
- グリシンにも睡眠効果があるかも(1日3g以上の摂取で睡眠が改善したって報告がある)
ということで、ちょっとだけ期待値が高めなマグネシウムなんですよ。なので、もし睡眠の改善を狙ってマグネシウムを飲むならば、現時点ではマグネシウムビスグリシネートが良いかもですな。
ちなみに今回の研究では、
- 日中の眠気
- 疲労感
- 感情状態
といった睡眠に関する他の項目には有意な改善は見られてないんで、そこは念頭に置いておいてください。つまり、「ちょっと眠れるようになったかも」ぐらいでは、日中のパフォーマンスはそんなに変わらないってことですね。また、参加者のほとんどは「臨床的に不眠症とまでは言えない」レベルの人たちだったため、本格的な睡眠障害にはおそらく効果がないんで、そこも注意しといてくださいませ。
ということで、
- 寝つきが悪いけど、薬には頼りたくない
- 副作用のない選択肢が欲しい
- マグネシウムの摂取量が普段から少なめ
という方であれば、ビスグリシネート型のサプリを、まずは2週間ぐらい試してみるのはアリじゃないでしょうか。ただし、あくまでサプリだけでガッツリ眠れるようになる、なんてことはまずないんで、睡眠習慣やストレス対策と組み合わせて使うのが鉄則であります。
もしもマグネシウムを試してみたい方は、以下のポイントをご参照ください。
マグネシウムビスグリシネート(Mg 250mg)を寝る前30〜60分に摂る
グリシン入りのタイプを選ぶと、多少の効果の上乗せが期待できるかも
2週間で効果が出なければ、他のアプローチに切り替えたほうがいいかも
睡眠衛生(ブルーライト、寝る前のスマホ、カフェインなど)を併せて整えて、サプリは“補助輪”として考えること
いずれにせよ、「マグネシウムで眠れるようになるかも?」という疑問に対しては、「ちょっとは効く。けど過度な期待は禁物」って結論は今後も変わらなそうなので、「自分に合うかどうかはやってみないとわからないなー」ぐらいの気持ちでお試しあれ。


