「スピーディに痩せる vs. ゆっくり痩せる」どっちが健康と体型の改善メリットが大きいのか？を調べたメタ分析の話

ダイエットの世界ではよく「急激に痩せるとリバウンドしやすい！」とか、逆に「少しずつ痩せると失敗しやすい！」みたいに、真反対のアドバイスがなされることがあるわけです。ダイエットは一気にやるかジワジワやるべきかって問題ですな。

果たして、このどちらが正しいのかってことで、直近のメタ分析(R)をチェックしてみましょう。タイトルをざっくり意訳すると「少しずつのダイエットと急激なダイエットは、どちらが体型と代謝の改善にとってお得なのか？」みたいな感じで、誰もが気になる問いに答えてくれる内容になっております。

このメタ分析は、過去のダイエット研究から計7件のRCTをまとめたもので、過体重〜肥満の人（BMI ≥25）たちが、

ハイスピードで減量した場合→ カロリー摂取を1日450〜1500 kcalぐらいまで減らして、週に0.5〜1.8kgのペースで痩せる（試験期間は5〜12週間ぐらい）
ローペースで減量した場合→ カロリー摂取を1日1200〜1500 kcalぐらいの控えめなレベルにして、週に0.2〜1.0kgのペースで痩せる（試験期間は9〜36週間ぐらい）

って2パターンのダイエットのいずれかを行った時に、どのような違いが出るのかをチェックしております。調べたポイントは、体重、体脂肪、筋肉、基礎代謝などで、「体重の落ち方が速いか遅いか」だけが違いで、他はなるべくそろえて比較したわけですな。

で、気になる結果をまとめてみると、こんな感じになります。

ってことで、全体的には、同じだけ体重が落ちたとしても、体の中身は“ゆっくり痩せたほうが有利”になる傾向が見て取れるわけです。

ポイントは、減った体重は同じでも、それ以外の要素に差が出たという点でして、簡単に言うと、

ということでして、こうなると「やっぱり、ゆっくり痩せるほうがよさそうだよなー」って気になってきますなぁ。

ただし、この研究にはいくつかの注意点もありますんで、そこらへんも一応押さえておきましょう。こちらも簡単にまとめておくと、

注意点1：ほとんどが肥満者対象：参加者の多くは BMI 25以上の過体重・肥満者でして、つまり「そもそも脂肪が多くて筋肉量の維持に余裕がある人」たちなんですよ。なので、筋肉量がギリギリの痩せ型のトレーニーやアスリートにも同じことが言えるかは、ちょっと怪しいところじゃないでしょうか。

注意点2：トレーニングしてない：7つの研究のうち、残念ながら筋トレを取り入れた研究はゼロだったりします。そのため、筋トレ＋高タンパク食を組み合わせていたら、ハイスピードに減量したとしても筋肉をもっと維持できるはずだよなー、と。

みたいになります。ここらへんの問題があることから、まだすべての人に「ダイエットはゆっくりやるのが最適！」と決まったわけでもない点はご承知ください。

ということで、もし「ハイスピードな減量とローペースな減量のどちらを選べばいいんだ！」などと迷った時は、

アスリートや上級トレーニー → 高タンパク食を続けていて、筋トレもしっかりやっていて、なにかしら短期で体重を落としたい事情があるという場合は、ハイスピード減量も選択肢にはなる。

みたいになりますかね。まぁ大半の人は、迷ったら「ゆっくり減量」のほうを選んでおけば間違いないんじゃないでしょうか。

ちなみに、お勧めの減量ペースはこんな感じです。

いずれにせよ、ダイエットは体重を減らすだけじゃ成功とは言えなくて、脂肪だけ落として筋肉と代謝を維持できないと意味がないですからねぇ。そのためには、やっぱり「ゆっくり落とす！」を基本戦略として使うのがいいんだろうなーって感じですね。

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