本当に人間は走るために生まれたのか?問題
何度か書いてますが、当ブログではランニングをあまりオススメしておりません。実際、ランニングは太るなんて研究があったり、虫歯の原因になるなんてデータもあったりとかしますしね。
が、一方では「人間は走るために生まれた!」って主張もありまして、このあたりの判断は難しいところ。こないだ読んだ「私たちは今でも進化しているのか?」でも、そのへんの問題が取り上げられておりました。
本書で、著者のズック博士が引き合いに出すのが、ルイス・リーベベンベルク博士の研究(1)であります。6年にわたってカラハリ砂漠のブッシュマンを追いかけたすごい人で、狩猟採集民の移動スピードを記録し続けたですね。
その結果、狩猟採集民たちは、かなりの時間を使って獲物を追いかけていることがわかりまして、それゆえに「ランニングやマラソンを嫌うパレオダイエットはおかしいんだ!」って指摘になっております。しかし、具体的な部分を引用しますと、
狩りはだいたい二時間から五時間続き、移動の速さは平均時速六.三キロメートルだが、人によって違う。リーベンバーグが指摘したように、それほど速いと思えないかもしれないが、このプロセスには注意深く動物の動きを観察して、近づく方法を考えることが含まれる。
とのこと。で、思ったわけですが、時速6.3キロってかなり遅くないですか? マラソンならタイムアウトすれすれなペースですし、成人男性のランニング速度の半分よりちょい上ぐらい。息が少しあがるけども、普通に会話はできるレベルですかね。
通常、ランニングの悪影響に関する実験は、かなり息があがった状態(最大心拍数の70%ぐらい)で行われてまして、早歩きレベルの運動には当てはまらないのではなかろうか、と。逆に、福岡大の田中宏暁教授がすすめる「スロージョギング」(時速7キロぐらい)なら、心肺機能はもちろん脳細胞も増えることがわかってますしね。
もちろん、「GO WILD 野生の体を取り戻せ!」にもあったとおり、人間の足が走りやすいように進化したのはほぼ間違いないかと思いますが、それでランニングやマラソンをオススメする理由にはならない感じ。「人間は早歩きするために生まれた!」や「人間はスロージョギングするために生まれた!」って表現なら正しい気もしますけど。
ちなみに、ブッシュマンたちの狩猟映像はBBCチャンネルで視聴可。かっこよろしいですなぁ。
credit: Magdalena Roeseler via FindCC