体の老化を防ぐためにもっとも必要な感情は「畏敬の念」
ちょい前に、体内の「慢性炎症」こそがアンチエイジングの敵!って話をしました。炎症は感染や病気に立ち向かうために必要な反応なんですが、これが慢性的になると、うつ病や糖尿病、心疾患などを引き起こす原因になっちゃうわけですね。
この慢性炎症をふせぐには、正しい食事や睡眠が必須なわけですが、新しく出た論文(1)によれば、炎症予防には「畏敬の念」を持つことが欠かせないらしい。
これはカリフォルニア大の研究で、200人の学生を対象にしたもの。彼らに日誌をわたして毎日の感情を記録してもらったうえで、歯ぐきの組織を調べて炎症物質の量を調べたんですね。
すると、以下の7種類の感情を体験する回数が多い学生ほど、体内の炎症レベルが低かったんだそうな。
- 喜び
- 楽しさ
- 哀れみ
- 愛
- 満足
- 誇り
- 畏敬
で、なかでも炎症に対する効果が高いのが「畏敬」であります。壮大な自然や名画などを見たときにわきあがる「とにかくすごい!」って感情のことですね。
研究者いわく、
畏敬の念や感嘆といった感情には、サイトカイン(炎症物質)を健康的なレベルに保つ作用がある。つまり、自然のなかを歩いたり、音楽に没頭したり、素晴らしいアートに触れたりといった活動は、いずれもポジティブな感情を引き起こすことで、健康や長寿に大きな影響を持つ。
とのこと。感情の持ち方によって、実際に炎症物質のレベルを下げられるってのは素晴らしいですねぇ。
こういった現象が起きる理由としましては、
「畏敬の念」とは、未知のものを知りたいという好奇心や欲望のことだ。炎症のレベルが高いとき、多くの人間は他者を避けて引きこもりがちになるが、この状態は好奇心や欲望とは真逆である。
とのこと。体が慢性的に炎症した状態だと、サイトカインがいろんなホルモンの働きをジャマしちゃうんですが、ポジティブな感情には、このサイクルを逆回転させる効果があるわけですね。
そんなわけで、この実験の教訓としましては、「素晴らしいものに触れるのが大事」ってことでしょうか。自然に触れるのはもちろんのこと、宇宙のすごさに感動してみたり、現代アートに驚いてみたりなど、積極的に感動していきたいもんです。
credit: Jambo huang via FindCC