重力波の初観測と素粒子と |「宇宙になぜ我々が存在するのか」
https://yuchrszk.blogspot.com/2014/03/blog-post_4732.html
「宇宙になぜ我々が存在するのか」を読みました。
こないだ読んだ「ホーキング、宇宙を語る」の素粒子論パートが1ミリも理解できなかったので、評判がいい村山先生の本を買ってみた次第です(笑)。
ニュートリノとヒッグス粒子をメインに素粒子論の歴史をたどる内容になっていて、いやー、これはすばらしい。ホーキング本では何のことやらサッパリだった「CP対称性」やら「スピン」の概念と、それが宇宙論でどんな意味を持つのかがようやく理解できました。それだけでもオススメ。
で、本書のタイトルである「宇宙になぜ我々が存在するのか」が、どのような疑問なのかといいますと、
- 宇宙や人間が存在するためには材料となる物質が必要
- また、物質には必ず反物質が存在しており、この2つが一緒になると消滅する
- 宇宙が始まったときは、物質と反物質が同じ量だけ存在していた
- したがって、本来ならすべての物質と反物質は消滅して、人間が存在するための材料がなくなっていたはず
- じゃあ、なんでいま宇宙と人間は存在してるの?
って話らしい。この大問題を解決するのがニュートリノとヒッグス粒子でして、ニュートリノが物質と反物質のバランスを破って、ヒッグス粒子が物質に重さを与えてくれたおかげで、人間を作る材料ができたんだ、と。宇宙ができて数秒後に起きたことが、こんな細かいレベルまでわかってきたんだ、と。
これだけ濃い内容なのに、分量はたったの190ページ。すごい。
ちなみに、本書の最後には「宇宙のはじまりの時期は、まだ理論的に考えられているだけで、実際に観測はされていません」とあるんですが、読了した翌日に「重力波を初観測」のニュースが出てビックリ。思いがけず最高の読書体験となりました。
わしのビッグバン理論は間違ってなかった…重力波初観測の大ニュースに涙ぐむ物理学者(動画) : ギズモード・ジャパン