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お金に困れば困るほどIQまで下がっちゃうらしい

Poverty

「いつも『時間がない』あなたに:欠乏の行動経済学」を読んでおります。原題は「スカーシティ(希少性)」で、まさに経済学の根っこに直球で取り組んだ一冊。





そのテーマは「欠乏感はいかに人の能力を狂わせるか?」というものなんですが、なかでも「貧しさは実際にIQを大幅に減らしてしまう」ことを実証した2013年の研究(1)がおもしろいです。


これは本書の著者たちが手がけた実験で、まずはアメリカの有名な商店街で買い物客にインタビューを行って、さまざまな年収の参加者を400人ほど集めまして。そのうえで、全員にアンケートとを行い、日ごろの精神状態や経済的な安定度についてのデータを取りまくったんですね。


その後、全員に対して「自分の車が壊れて修理が必要になった場面」を想像してもらったところ、年収が約200万円ぐらいのグループは、年収が700万円以上のグループにくらべて、IQテストの結果が40%も悪くなったんだとか。


こういった事態が起きるのは、お金に対する欠乏感が脳の処理能力を奪ってしまい、他のことに回す余裕がなくなっちゃうから。俗に「トンネル効果」と呼ばれる現象だそうで、研究者いわく、

経済的な負担は、私たちの能力を取り去ってしまう。これは、貧困についての研究ではない。あくまで、限られた予算の範囲で暮らしていかねばならない人たちが対象だ。

経済的なストレスが大きい人を見ると、私たちは単純に「お金に困っているんだな」と考えてしまう。しかし、実際のところ、彼らは認知機能の不足にも困っているのだ。


さらに、本書にはインドでの研究例も出てまして、これがまたおもしろい。インドの農家464件を調べたところ、収穫後(=裕福)のIQは、収穫前(=貧乏)にくらべて25%も良かったんだそうな。どえらい差ですねぇ。


まぁ、この問題に特効薬はないんですが、貧しさには人間のポテンシャルを損なう作用があると意識するだけでも違ってきそう。とにかく、金に困っている時期に大事な決断はしないほうがよさそうです。


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