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糖質と脂肪はどちらも同じように人を太らせる「食事報酬と肥満 その3」

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ここんところ、「肥満の原因は食事報酬だ!」ってシリーズを書いております。現代人が太りやすいのは、脳への刺激が強い食品のせいで、糖質や脂肪のバランスとはさほど関係がないって話でした。


と、結構な方から「太るのは糖質(または脂肪)のせいじゃないの?」ってご質問をいただきましたので、今回はそのへんの話を。





糖質と脂肪の太りやすさに差はない 

いまのダイエット界は、「デブの原因は脂肪だ!」「真の悪は糖質だ!」って主張の2つにわかれがち。しかし。第一線の肥満研究者でそんなことを言ってる人はまずいないかと思います。


というのも、高脂肪食と高炭水化食の太りやすさをくらべた研究は山ほどありまして、そのほぼすべてが「両者に違いはない」って結論なんですよね。


その代表例は以下のエントリでくわしく取り上げてますので、ご参照くださいませ。


また、カロリー制限をしない状態で、高脂肪食と高炭水化物食の太りやすさをくらべた研究も大量にあるんですが(1,2,3,4)、そのいずれもが、やはり「ほとんど変わらない」か「脂肪のほうがやや太りやすい」って結論。これは、脂肪のほうがカロリー密度(1gあたりのカロリー量)が高いので、どうしても食べ過ぎてしまうのが原因らしい(5)。

問題は食品の刺激度とカロリー密度

以上の結論は、短期的な実験(6,7,8)でも長期的な実験(9,10,11)でもほぼ一貫したデータが出てまして、「糖質(または脂肪)こそがデブの原因!」って説の強力な反証の1つになっております。ぶっちゃけ、脂肪だろうが糖質だろうが、食べ過ぎれば同じように太るわけですね。


研究者いわく、

数々の実験により、脂肪と糖質が食事の満足感にあたえる影響が調べられてきた。しかし、カロリー量と脳への刺激を同じレベルに調整した場合、両者には何の違いも見られなかった

 

問題は脂肪や糖質ではない。重要なのは、食品の刺激度とカロリーの密度だ。この点だけは非常に明白で一貫している。そのため、重さに対してカロリー量が多い食品は、簡単に食べ過ぎにつながってしまう。


とのこと(12)。この説に従えば、重量が軽いわりにハイカロリーな「カロリーメイト」なんかは、よろしくない食品の代表格になっちゃいますね。

まとめ 

そんなわけで今回は、糖質や脂肪のどちらかだけが肥満の原因ってことはありえないという話でした。


もっとも、1年の期間で見た場合は、糖質制限食のほうがダイエット効果が高いって研究はあるんですが、これに関しては、

  1. 糖質を避けると、自然に加工食品の摂取量が減るので、食事報酬のレベルが下がりやすい。
  2. 糖質が減ったぶんタンパク質の摂取量が多くなり、満腹感が続きやすい。


の2点が大きいと考えられております。いずれにせよ、糖質や脂肪の量ではなく、あくまで脳への刺激レベルが下がったのが大きいんですね。その意味で、イエール大のカッツ教授による「三大栄養素の割合を気にするのは、そろそろ止めるべきだと思う」って主張はやっぱ正しいなーとか思ったり。

 

【食事報酬と肥満シリーズ


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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