なぜ穀物牛よりグラスフェッドビーフ(牧草牛)のほうが健康にいいのか?
パレオダイエットでは、よく「グラスフェッドビーフ」って肉がオススメされます。
これは、自然の環境で放牧されて、牧草だけで飼育された牛肉の総称。いわゆる「放牧牛」ですね。
いっぽうで、和牛や国産牛のほとんどは穀物で育てられてまして、グレインフェッドビーフ(穀物牛)と呼ばれております。
以前に「あらゆるダイエット研究から導き出された唯一の『正しい食事法』」でも紹介したとおり、
肉・魚・乳製品の質は、動物たちの生育環境に大きく左右される
ところがありまして、与えられたエサの違いによって、お肉の栄養プロファイルもかなり違ってくるんですね。たとえば、
放牧牛はオメガ3とオメガ6のバランスがいい
オメガ6は脂肪酸の一種。体内のオメガ3とオメガ6のバランスが悪くなると、肥満やアレルギーといった害が出ることが知られております。
一般的に、すべての牛肉にはオメガ6が入っているんですが(1)、放牧牛のほうがオメガ3の量が多いって データが豊富なんですね(2)。その割合は飼育環境によって違いますが、おおまかにいって穀物牛の2〜5倍と言われております。
平均的なオメガ6:オメガ3の比率で言いますと、
- 牧草牛 1.53:1
- 穀物牛 7.65:1
って感じ。ちなみに、豚肉と鶏肉の脂肪バランスについては以下をご参照ください。
放牧牛は善玉コレステロールを上げやすい
放牧牛にふくまれる飽和脂肪には、
- ステアリン酸
- パルミチン酸
- ミリスチン酸
の3つの脂肪酸が入っております。このなかで、放牧牛にはステアリン酸が多くふくまれてまして(3)、HDLコレステロールを上げて、LDLコレステロールを下げる働きがあると言われております。
脂肪を燃やす共役リノール酸が豊富
共役リノール酸は、乳製品などにふくまれる不飽和脂肪酸の一種。体脂肪を減らす効果の高さには定評がありまして、ほかにも抗酸化作用があったり、糖尿病に効くとも言われております。
穀物牛にくらべると、放牧牛にふくまれる共役リノール酸の量はおよそ2〜3倍(4)。どうやら、牧草によって牛のPH値が変わって、共役リノール酸を生む細菌が増えるみたい。
牛肉の共役リノール酸は市販のサプリとは違って老化を進めないので、わりと積極的に食べていきたいところです。
放牧牛は抗酸化成分も豊富
その他、放牧牛はビタミンや抗酸化成分も豊富なことが知られております(5)。たとえば、
- ベータカロチン
- ビタミンA
- ビタミンE
- グルタチオン
- スーパーオキシドディスムターゼ
などなど。かなり強力な抗酸化パワーがあるもんで、酸化に弱いオメガ3も腐らずにとることができちゃうわけですね。すばらしい。
まとめ
そんなわけで、日常的に牛肉を食べるなら、できるだけグラスフェッドビーフを選びたいところ。
日本では高価なイメージが強いですけども、肉のハナマサなどに行くと、意外に安価なニュージーランド産の牧草牛が手に入ったりしますんで、お探しになってみたらよいかと。ネットでは、The Meat Guyさんがわりと手ごろなグラスフェッドビーフをあつかっております。
credit: TheBusyBrain via FindCC