「運動は食べ過ぎを引き起こすから意味がない!」はどこまで本当か?
一般的に、ダイエットには運動より食事が大事だと言われます。
その理由としてよく聞くのが、「運動をするとお腹が空いちゃうので意味がない」という説。「ヒトはなぜ太るのか?」で有名なジャーナリストのゲーリー・トーベスも、雑誌のコラムに書いております(1)。
確実に言えることは、エクササイズには空腹感を高める作用がある点だ。この現象はすぐに起きるわけではないが、最終的には食べ過ぎを引き起こす原因となり、せっかく燃やしたカロリーがムダになってしまう。
要は「運動したらお腹がすく!」って話でして、感覚的に納得しやすいところではあります。では、実際のところ、運動はどれぐらい食欲に影響をあたえるんでしょうか?
短期的には運動は食欲に影響をあたえない
まず参考になるのが1999年のレビュー(1)。運動と食欲に関する過去の研究を調べ直したところ、全10件のうちエクササイズ後に空腹感が増したのは2つだけで、残りの8件は「特に影響なし」との結果だったとか。
英リーズ大学の意見も(2)似ていて、
身体活動が空腹感を増やし、食べ過ぎにつながるとの考え方がある。その結果、体重のコントロールがムダになるというのだ。しかし、そのような現象が起きる証拠は何もない。
とのこと。とにかく、エクササイズをしたからといって、すぐに食欲が増えるってわけではなさそうです。
長期的に見ると、食欲の変化は人によって大きく違う
ところが長期的な視点で見ると、話はやや変わってまいります。
2008年の実験(3)によれば、参加者に16日間ほどエクササイズを続けてもらったところ、平均で30%もカロリーが増えたんだとか。つまり、運動で100kcalを燃やした場合は、その後で130kcalのカロリーをとるようになっちゃったわけですね。
ただし、これはあくまで平均値でして、どうやら運動で食欲が増える度合いは、人によってかなり違うようなんですな。たとえば2009年の研究(4)では、参加者に12週間のエクササイズを行ってもらたうえで、食欲の変化を見たんですね。
その結果、参加者は大きく以下の2グループにわかれたんだとか。
- 食欲が増えた参加者=1日の摂取カロリーが平均で164kcalアップ(体脂肪は1.3キロ減少)
- 食欲が減った参加者=1日の摂取カロリーが平均で126kcalダウン(体脂肪は5.7キロ減少)
同じエクササイズをしても、人によって真逆の反応が出ちゃったわけですね。うーん、難しい。
まとめ
そんなわけで、「エクササイズが食欲を増やすかどうかは人による」という玉虫色の結論になってしまいました。この違いは遺伝が原因かもしれないし、年齢や性別、運動のレベルによっても変わってくるのかも。正直、そのあたりはよくわかりません。
ともあれ、カロリー制限だけで痩せようとすると、どこか不健康な印象になっちゃうんで、ダイエット中も運動はしたほうがいいとは思います。ただし、その際は食欲の変化をよく見つつ、自分の最適な運動レベルをつかんでいくのがよさげですねー。