近赤外線で髪が生える!脳の機能があがる!みたいな話
https://yuchrszk.blogspot.com/2015/09/blog-post_20.html
赤外線療法に関するご質問をいただきました。
赤外線療法についてどう思われますか?遠赤外線のふとんとか美容サロンでもすすめられたりするのですが…。怪しいものも多そうですし。
とのこと。確かに赤外線系の商品にはインチキが多く(特にトルマリン系とか)、国民生活センターの調査でも遠赤外線の肌着に効果がなかったってレポート(1)があったりしますしね。
近赤外線で髪が生える!脳機能が改善する!
ただし、かといって赤外線療法がダメだってわけじゃないのが難しいところ。実際、近赤外線の効果を示すデータは少なくないんですよ。たとえば、- 髪が生える:頭がさびしくなり始めた男女269名にレーザブラシ(近赤外線を出すヘアブラシ)を週3回ずつ使ってもらったところ、26週間で大幅な改善がみられた。具体的には以下の写真をどうぞ(2014年,2)
- 脳の機能の改善:脳に損傷を負った患者11名の頭に近赤外線を当てたところ、全員の学習能力と記憶力が改善し、睡眠の質も上がった(2014年,3)
- 甲状腺機能の改善:甲状腺不全の患者さんに近赤外線療法(830nm)を行ったところ、9カ月で48%がホルモン治療を受けずに済むようになった(2013年,4)
- 関節炎の改善:ヒザ関節炎の患者さんに4週間ほど近赤外線療法(830nm)を行ったところ、劇的な痛みの改善がみられた(2009年,5)
- 視力の向上:視力が低下した200人のお年寄りに近赤外線(780nm)のライトを当てたところ、2週間で95%に視力の向上が見られた。その効果は3〜36カ月にわたって続いた(2008年,6)
などなど。ほかにもパイロットスタディですが、近赤外線でコレステロールや中性脂肪が減った(7)なんて報告もありまして、なかなかおもしろいことになっております。
近赤外線はミトコンドリアを刺激する
こういった現象が起きるのは、遠赤外線にミトコンドリアを元気にする作用があるから。ご存じのとおり、ミトコンドリアは細胞のエネルギー工場でして、こいつが上手く働いてくれないと体がガンガン老けこんでいっちゃう。ところが、近赤外線はシトクロムcオキシダーゼって酵素を活性化する働きがありまして(7,8,9)、ミトコンドリアの働きを助けてくれるんですよ。また、近赤外線には皮膚を突き抜ける性質がありまして、およそ肌の2〜3センチ下まで届いてミトコンドリアを刺激してくれることもわかっております(10,11)。
一般的には「赤外線が体にいいのは熱で血行が良くなるから」と思われがちですが、もっと根本的な理由があるわけですねー。
近赤外線を浴びるにはどうすればいいのか?
そんなわけで、できれば積極的に近赤外線を浴びたいところなんですが、あいにく市販の赤外線マシンは遠赤外線(波長が15μmから1mm)を使ったものが多く、シトクロムcオキシダーゼを活性化するには不向きのような気が。海外だとちょうどいい波長のヘアブラシや器具が売ってたりしますが、日本だと専門の病院にかかるしかないのかも。まぁ、そこまでしなくてもちゃんと日光を浴びれば必要な量の赤外線は得られますんで、結局は「太陽の光を浴びよう!」が結論になるかと思います。太陽の光は体内時計の調整やビタミンDと一酸化窒素の生産にも重要なんで、必ずしっかり浴びていただければと。
ちなみに、海外ではLEDで自作の近赤外線ヘルメットを自作したツワモノもいる模様(13)。ここまでやれば一人前のバイオハッカーですが、さすがにここまで試すモチベーションが(笑)