バターって体に悪いの?問題にとりあえずの決着がついた件
結局、バターって体に悪いの?
健康の世界で賛否両論が多い食材といえばバターであります。少し前までは「バターは悪!死亡率を上げる!」といった論調が普通だったんですが、近ごろは「飽和脂肪は心臓疾患と無関係!」ってデータのほうが多く、だいぶ形勢が変わってきた感じ。
といったところで、今度は「結局、バターって体に悪いの?」って問題に特化した論文(1)が出まして、かなり参考になりました。
このデータは、過去に15の国で行われた9件の観察研究をまとめたもの。約636,000人分のデータを精査した系統的レビューなんで、いまのとこもっとも信頼がおける内容ではないかと。
バターで死亡率に目立った変化はなし
では、結論からざっくり行きましょう。
- バターの消費量が1日14g増えるごとに、
- 総死亡率が1%増える
- ただし糖尿病のリスクは4%下がる
- 脳卒中や心臓病のリスクは変わらない
総死亡率が増えると聞くとビビっちゃいそうですが、実際の数値を見ると統計上はかなりギリギリ有意なラインなんで、目立って危険って話ではなかったりします。
同じように糖尿病のリスク低下も、取り立てて騒ぐほどでもないレベル。さらにデータ上では、バターの1日の消費量は4.5〜46グラムの範囲に広がってまして、それだけ食べても心疾患リスクは変わらないんだなーという印象であります。
バターは健康にいいわけでも悪いわけでもない
研究者いわく、
今回の系統的レビューとメタ分析は、バターと死亡率、心疾患、糖尿病のあいだには、ほとんど関係がないことを示している。
多くの食事ガイドラインでは、バターの消費量を減らすか増やすかで論争があるが、どちらにもこだわらなくてよさそうだ。
とのこと。つまり、バターは特に健康に良いわけでも悪いわけでもないから、好きにすればいいんじゃない?って結論ですね。
もちろん、これは観察研究オンリーなんで、いろんな要素(運動習慣とか健康意識とか)が紛れ込んじゃうのはいたしかたないところ。ただし、現時点ではもっとも精度が高いデータなのは間違いないんで、とりあえずバターについては「どっちでもいい」って考え方でいいのかも。
料理に使うぶんには全然アリ
まぁバターの栄養プロファイルをみますと、
- 飽和脂肪酸50%
- 不飽和脂肪酸20%
- 多価不飽和脂肪酸5%
- タンパク質0.85%
- 糖質0.07%
- ビタミンA 335IU
みたいな感じなので、普通に肉や魚を食べてれば、あえて追加で摂る意味はなさそう。安全性の高い脂肪として、料理に使うのは全然アリだと思いますが。
そんなわけで、あくまでバターは嗜好品として、カロリーに注意して好きに食べればよさげ。わたしは、じゃがバター用に今後も使っていくつもり。