「食物繊維」で脳がお菓子の誘惑に強くなる
当ブログでは、人間が太る一番の原因を「食事報酬」だと考えております。簡単に言うと、
- 現代の加工食品は脳への刺激が大きいので、神経系が興奮して食欲が止まらなくなる
みたいな話です。
実際、近年では、長期にわたってスナック菓子を食べ続けると、脳の化学物質が乱れだすみたいなデータも多め。個人的にも、まずは興奮した脳を落ち着かせてやるのが先決じゃないかと思っております。
ってところで、その対策として近ごろ有望視されてるのが「プロピオン酸」。ちょっと前に「食欲を激しく減らすスーパー食物繊維」でも紹介した短鎖脂肪酸の一種で、いくつかの実験で食欲を減らすパワーが確認されてるんですね。
で、新しく出た研究(1)では、「プロピオン酸で本当に脳が落ち着いたよ!」って結果が出てておもしろいです。
これは21人の男性を対象にした実験で、平均のBMIは25ぐらい。ちょっと太りぎみの人だけを選んだみたい。
実験では、まず全員を2つのグループにわけたんですね。
- 朝食時にイヌリンPEを10g飲む
- 朝食時にイヌリンを10g飲む
イヌリンPEは、プロピオン酸が増えやすいタイプの食物繊維のこと。腸内でイヌリンPEが発酵して、プロピオン酸に変わるんですね。実はイヌリンだけでもプロピオン酸は出るんですけど、PEがつくと発生量が数倍は違うんですな。
その後、みんなの脳を1時間ほどfMRIで調べたところ、
- 体内にプロピオン酸が増えた参加者ほど、脳の食欲コントロールセンターの活動が静かだった!
- プロピオン酸が増えた参加者に「美味そうなお菓子」の写真を見せても、通常より脳の活性レベルがおだやかだった
みたいな差がハッキリ出たみたい。つまり、体内のプロピオン酸を増やすほど、自然とお菓子が食べたくなくなったんですな。これは良いデータですねー。
といっても、いまのところイヌリンPEのサプリは存在しないんで、現時点で私たちができるのは、
- イヌリンを摂りまくって腸内のプロピオン酸を増やす!
しか無さそう。しかし、実験と同じレベルのプロピオン酸にしようと思ったら、水溶性食物繊維の摂り過ぎによる害が出る可能性も出てきますんで、手放しではオススメしづらいところではあります。
まぁ今回のデータを見ると、1日10g以下のイヌリンPEでも脳が落ち着く効果は出てるみたいなんで、「ちゃんと食物繊維を摂ろうね!」といういつものアドバイスを守るだけでも効果は出そうですが。