「小さな親切」で人間はどれだけ幸福になれるのか?
他人に親切にすると本当に幸せになれるの?
ここんとこポジティブ心理学の世界では「親切は大事だよー」って風潮が強くて、
などといろいろ面白い論文が出ております。
が、これらのデータは、どれも単発で小規模な実験なのが難点。親切が心と体にいいのは確実っぽいものの、いまいち決め手にかけていたのも事実だったりします。
そんな状況下、近ごろオックスフォード大学が、「他人に親切にすると幸せになれるの?」って問題に関するメタ分析(1)をやってくれたんですよ。
親切の効果は意外とショボいが…
これは、過去に行われた「親切の効果」に関す428件の研究から、質の高い21件を選び抜いて精査したもの。かなーり信頼のおける内容になっております。
ここでいう「親切」ってのは本当にささいなことで、
- 恵まれない子供にチョコを買ってあげる
- チャリティに寄付をする
- 家族のために好きなものを買う
- 同僚をほめる
- 誰かのためにドアを持つ
- ゴミを拾う
ぐらいのレベル。多くの実験では、これぐらいの小さな親切を「1日に最低でも5回は行ったら幸福感は変わるか?」を調べたみたいですね。
で、まずは結論の数字を出すと、
- すべてのデータを合わせた結果、「親切」の効果は0.38ポイントだった
みたいな感じ。この数字をどう解釈するかは難しいんですけど、ざっくり翻訳すると「そこまで大きな効果はないけど、間違いなく何らかのメリットはある」ぐらいのイメージでしょうか。
親切で人生が正しい方向に向かう
研究者の表現でいうと、
「親切」の効果は、小から中レベルだ。これは、自分の幸福を10点満点で採点した場合、数値が0.8ポイント上昇するのに等しい。
みたいな感じ。これを「パッとしない」と思うか、「確実に幸福度があがる」と思うかは、好みの問題になりますかねぇ。
さらに研究者いわく、
人類は社会的な生き物だ。家族、友人、同僚、仲間を助ければ幸福になれるし、完全な他人を助けた場合でも同じ効果は得られる。(中略)
他人に親切にしても人生は変わらないだろうが、人生を正しい方向に進む手助けにはなりそうだ。
とのこと。「もっとも人間の幸福に大事なのは人間関係」ってデータもありましたが、他人に親切にすれば少なくとも対人コミュニーケーションは上手くいくので、結果として人生が正しい方向に向くのではないか、と。いずれにせよ「小さな親切」には何の損もないんで、日ごろの習慣にしとけばいいんじゃないでしょうか。