食物繊維のとり過ぎで栄養が吸収されなくなっちゃうこともある
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ちょっと前にご紹介した「食物繊維で逆に便秘になっちゃうケース」 で、軽く「食物繊維が栄養不足を引き起こすことも」と書いたら「もっと詳しく!」と言われましたので、さらに細かなところをまとめてみます。
不溶性食物繊維はミネラルの吸収をさまたげる
といっても、食物繊維が栄養の吸収をブロックするケースは、昔からよく知られた話ではあります。1991年の論文(1)によれば、不溶性の食物繊維を大量にとると、- 亜鉛
- マグネシウム
- カルシウム
- 鉄分
といった必須のミネラルが上手く吸収されなくなっちゃうそうな。お腹のなかが食物繊維でいっぱいになってしまい、腸がちゃんと働かなくなっちゃうんですね。玄米や豆類にふくまれるフィチン酸と似た作用があるわけですね。
2007年にアレクサンドラ病院が出した記事(2)では、不溶性食物繊維にかなり厳しい立場をとってまして、
不溶性食物繊維は究極のジャンクフードだ。消化も吸収もされず、栄養もまったくない。
とまで言い切っております。確かに、近ごろは「実は不溶性食物繊維って思ったより健康効果がないんじゃない?」ってデータもよく見かけるようになりまして(3,4)、この見方には一理ありそう。
水溶性食物繊維はタンパク質の吸収をさまたげる
一方で、水溶性の食物繊維(難消化性デキストリンやイヌリンなど)は、腸内で細菌のエサになって酪酸 を生み、体の炎症をおさえたり、インスリン抵抗性を改善することがわかっております。その意味では不溶性食物繊維よりも良いわけですが、やはり過剰にとると栄養の吸収をジャマしちゃう。上述したアレクサンドラ病院のレポート(5)によると、水溶性の食物繊維にはすい臓の酵素の働きをジャマする作用があり、タンパク質の吸収をブロックしてしまうんだとか。
そんなわけで「なにごとも摂り過ぎは禁物」という、いつもの結論でありました。食物繊維については個人差が大きいので、「どれだけ飲むと摂り過ぎなの?」って基準を示すのは難しいんですが、厚労省の摂取基準(6)では1日あたりの目安は男性20g・女性18g以上なので、サプリで摂る場合はまず1日に5グラムからスタートして様子をみることをオススメいたします。
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