疑り深い人ほど逆にウソを見抜けないという事実
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昔からウソにまつわる実験はいくつかありまして、超有名なのが2006年の論文(2)。過去の研究から24,000人分のデータを分析したところ、心理学者、面接官、警察官といったプロでも、他人のウソを見抜ける確率はおよそ55%しかなかったとか。偶然よりもちょっと高いぐらいっすね。
他人を信じる人のほうがウソを見抜く
こうなると、「他人のウソを見抜くなんてムリ!」って結論になりそうですが、一部にはウソを見抜くのが上手い人がいるのも確かなんだそうで。そのあたりを調べてて面白いのが、2011年の研究(1)であります。これはトロント大学の実験で、研究者たちはまず架空の面接シーンを8本ほどビデオに撮影。そのうち半分では面接を受ける側にすべて真実を答えてもらい、もう半分では面接官の質問に対し3つのウソをついてもらったんだそうな。
続いて、実験の参加者たちに性格テストを行って、「疑り深い人」と「信じやすい人」の2グループに分類。そのうえで全員にビデオを見てもらったところ、簡単に他人を信じちゃう人のほうが、ウソを見抜く確率は高かったんだそうな。疑り深い人のほうが、実は簡単にダマされやすいわけですね。
人を信じることでウソを見抜く能力が高まる?
こういった現象が起きる理由はハッキリしてないんですが、論文では2つの可能性が示されております。可能性1)もともとウソを見抜く能力が高い人は、人を疑わなくてすむから
生まれつきウソを見抜く能力が高ければ、いたずらに人を疑わなくてすむ。そのため、自然と他人を信じるようになっていくという説。逆に、ウソを見抜く能力が低いと、つねに人に対して警戒心を抱かねばならず、疑り深い性格になっていくわけですね。
可能性2)人を信じることでウソを見抜く能力が高まるから
疑い深い人は、つねに「他人は何かを隠している…」といった態度でのぞむため、コミュニケーションの視点が1つに固まりがち。一方で、他人を信じやすい人は、人の行動に対して幅広い目くばせを行うため、少しずつウソつきと正直者の違いがわかるようになっていくんだ、と。
2つの仮説は因果の関係がまったく逆なんですが、個人的には「人を信じることでウソを見抜く能力が高まる」説を信じたいところ。他人を疑うのってめんどうですからね。