高地トレーニングマスクって意味あるの?
高地トレーニングマスクって効果あるの?
高地トレーニングマスクについてご質問をいただきました。
高地マスクについてどう思われますか?マスクで酸素を少なくして、高地トレーニングと同じような効果があるみたいなんですが。ちょっと流行ってきた気がします。
とのこと。確かに、たまーにジムでも高地マスクを着けながらトレッドミルを使ってる人をみますね。
高地トレーニングマスクってのは、↓こんな形のガジェット。白いキャップで酸素をコントロールしていて、自分の好きな標高設定ができるのもウリのひとつ。「ダークナイト・ライジング」のベインみたいですな。
そもそも高地トレーニングマスクとは?
まず前提からいうと、「高地トレーニング」ってのは、標高が高い場所で運動をすること。酸素が薄い状態で体を動かすので、持久力がアップしやすいんですよね。
プロスポーツの世界では何十年も使われてきた方法ですし、だいたい1〜3週間で体が変わったよーって研究も多く(1,2)、その効果は疑いようがないところです。
ただし、トレーニングのたびにいちいち標高2,000メートルの場所に出向くわけにもいかないんで、そこで高地トレーニングマスクの出番。マスクで強引に酸素を少なくして、高地トレーニングと似た環境を擬似的に作り出そうってわけですね。
高地マスク研究の結果は厳しい
が、このマスクが効くかどうかといえば、いまのところは無意味って結論じゃないでしょうか。
高地トレーニングマスクについて調べた実験はいくつかありまして、例えば、最も新しいのがオクラホマ州立大の2017年論文(3)。これは軍隊の候補生14名を対象にした実験で、7週間にわたって高地マスクを標高3000メートル設定にしつつ軍事トレーニングをしてもらったらしい。
参考までにどんなトレーニングかというと、
- 1セット6キロを走る
- 60秒はジョギング → 10秒はスプリントのサイクルをくり返す
- 以上のトレーニングを4〜8セット
みたいな感じ。軍事トレーニングでもHIITの手法を取り入れてるんですねー。
で、結果がどうだったかというと、「高地マスクを着けても着けなくても最大酸素摂取量の変化は同じだった」とのこと。つまり、高地マスクには意味がなかった、と。
高地マスクで逆効果なケースも
もうひとつ、2015年にはテキサス大も似たような実験(4)をしてまして、やはり標高3,000メートル設定で3週間ほどランニングをしてもらったらしい。
ところが、こちらの結果はさらにガッカリで、
- 高地マスクを着けてもランニングのタイムは上がらない
- どころか、安静時の心拍数が悪化していた
だったそうな。うーん、かなり微妙な…。やっぱり単に酸素を制限しただけじゃ無意味で、低圧の状態を作らないと体が適応しないんでしょうか。
まとめ
もちろん、上記の実験は参加者が少ないので、今後の研究で逆転する可能性もなくはありません。が、現時点で高地マスクに言えるのは、
- 宣伝の効果を裏付けるようなデータはゼロ
- というか、否定的な結果のほうが多い
ってとこでしょうね。そんなわけで、当ブログでは高地トレーニングマスクはオススメしません。ジムで周囲をビビらせるアイテムとしてなら使えそうですが(笑)