煮干しの栄養的なすばらしさと、唯一の心配ポイント
煮干しはパレオ的にOKなの?
煮干しに関するご質問をいただきました。
いつも楽しく読ませていただいてます。
パレオダイエットでは、天然魚がよいタンパク源として取り上げられていますが、煮干しはどうでしょうか?
小魚、天然魚なのでパレオ的にとてもよさそうです。煮干しは手軽に魚を食べられるので常食にしたいなぁと思っています。
何かご存知でしたら教えてくださるとありがたいです。
とのこと。煮干しはパレオ的にアリかナシかという問題ですね。
煮干しの栄養価はガチですばらしい
確かに、煮干しにはいかにも健康なイメージがありまして、携帯食としても優れている感じはいたします。といっても、いまのことろ煮干しの消費量と健康の関係をチェックした研究はないので、ここから先はあくまで予想の話をするしかない感じ。
で、まず煮干しの栄養からいくと、これはかなり優秀です。たとえば、ざっくり100gの煮干しを食べたとすると、
- ビタミンD=1日の必要量の約300%
- ビタミンB12=1日の必要量の約1700%
- ナイアシン=1日の必要量の約100%
- マグネシウム=1日の必要量の約70%
ぐらいが摂れちゃう計算なんですな。日本人が不足しがちなビタミンDとビタミンB12を、煮干しだけでまかなえられるわけですね。
このほかにもタンパク質が100g中に64.5gも入っているのが素晴らしく、これで330kcalってのはかなり優秀。もちろん1日に100gも食べないでしょうが、栄養価の高さは疑いようがなく、筋トレのお供としても使えるように思います。
唯一の心配点は煮干しの「酸化」
ただし、唯一気になっちゃうのが「酸化」の問題なんですよね。というのも煮干しってのは、
- 100度でグツグツ煮る
- 乾燥のために送風機でガンガン風を送る
って作り方をしてまして、どうしてもイワシの脂質が酸化しちゃうんですよ。
前にも書いたとおり、魚の脂質は酸化ダメージに超弱い成分。フィッシュオイルの酸化がどれだけ体に悪いかについては諸説あるものの、いまのところオメガ3の効果を調べた実験には食い違いがありまして、これは酸化フィッシュオイルのせいではないかと考えられております。
このへんは昔から有名な話(1)で、業者さんもいろいろと対策をほどこしております。具体的には、製造の途中でビタミンEやビタミンCといった抗酸化物質を配合してるんですね(2)。脂質の酸化は煮干しの味を左右するので、製造側も必死なわけです。
もっとも、これでどれだけ酸化が食い止められているかは不明。見た目で酸化レベルを確かめる方法もないんで、消費者としては困っちゃいますな(さすがに赤褐色の煮干しはヤバいですが)。
まとめ
そんなわけで、とりあえずのまとめとしては、
- 煮干しの栄養価がすばらしいのは間違いない
- 唯一の不安要素は脂質の酸化だが、商品の酸化レベルを確かめるのは難しい
- 基本的には美味い煮干しほど酸化してないはずなので、味で評価が高い商品を選べばいい…かも
- ガチでイワシのメリットを得たいなら缶詰のほうがオススメ
ぐらいの感じです。とはいえ、煮干しが古来から食べられてきたことを考えれば、それほど酸化を心配する必要もないのかもしれませんけどね。実際、私も煮干しが好きなので、週3ぐらいでちょこちょこ食べてますし。