会話がつまらない!と思われたくなけりゃ相手が知ってるネタを話すべし
会話では相手がすでに知ってる話をするのが正解
「会話を盛り上げたければ、目新しい話はするな!」っていうおもしろい論文がでておりました(1)。
著者は「明日の幸せを科学する」で有名なダニエル・ギルバート博士で、こんなことをおっしゃっておられます。
たいていの人は、相手が「新鮮で目新しい話」を聞きたいはずだと思う傾向がある。しかし、それは大きな間違いだ。
たとえば、あなたの友人が、見たことも聞いたこともないような映画や音楽の話をしてきても、興味が持てずに退屈するだけだろう。映画や音楽の体験は複雑なので、一般人がうまく伝えるのは不可能だからだ。
うーん、すごくわかる。見たこともない映画の話なんて、かなりの話術を持った人が相手じゃないと聞いてられないですからね。コミュニケーションが苦手な人ほどやりがちなミスと言いますか。
なぜ会話の相手を退屈させてしまうのか?
さらに博士いわく、
それにもかかわらず、向こうの話が終わったとたん、今度はあなたが友人に同じことをしてしまう。そして、同じように相手を退屈させるのだ。
この研究の目的は、なぜこんな事態が起きてしまうのかを調べることだ。
というわけで、博士が行った実験はざっくりこんな感じです。
- 参加者を「話し手」と「聞き手」のグループにわける
- 事前に「『初めて聞く話』と『すでに知っている話』のどっちが楽しめると思いますか?」とアンケートを取る
- 話し手側にTEDの動画を見てもらい、その内容を聞き手に解説する。その際、聞き手は「動画を見ていない状態」と「動画を見た後」の2グループにわかれる
みんな「知らない話のほうが楽しいはず」と思いすぎ
で、結果は以下のようになりました。
- 「話し手」も「聞き手」も、実験前は「新しくて聞いたことがない話のほうが盛り上がるだろう」と予想していた
- しかし、実際は「聞き手」も同じ動画を見ていたほうが、「話し手」に対してポジティブな反応をみせた
というわけで、参加者の予想に反して、聞き手がすでに知ってることを話したほうが、話し手に好意的な印象を持ったみたい。
相手をとまどわせるリスクに目を向けよう
こういった現象が起きた理由について博士いわく、
たいていの人は、説明が恐ろしくヘタだ。そのせいで、大事な情報を簡単に言い忘れてしまう。もちろん説明が上手い人の話ならみんな楽しんでくれるだろうが、私たちの多くはそうではない。
すでに知っている話を聞くほうが楽しいのは、少なくとも相手が何を言っているかが理解できるからだ。
しかし、私たちの多くは、相手をわくわくさせることだけに注意を払い、相手がとまどってしまうケースには注意を向けない傾向がある。
とのこと。相手を楽しませようとして新鮮な話をしたはいいが、情報不足のせいで退屈が生まれるリスクのほうが大きいわけですね。「空気が読めない」と言われがちな人に、多いケースのようにも思いますな。
そんなわけで、会話を弾ませたいなら、まずは相手がよく知ってることを話すのが吉。わくわく感をアピールするのは、その後のほうがよさげです。