実は糖質が多い食事のほうが体脂肪は減るよー、というメタ分析が
糖質制限で代謝はアップするか?
かなり前に「糖質制限ダイエットは格別に効果が高いわけじゃないよねー」みたいな話を書きました。過去の糖質制限ダイエットの実験をまとめた、信頼性の高いメタ分析を紹介したものであります。ここ数年は、糖質制限に厳しいデータがいろいろ増えてきましたねぇ。
ってところで、近ごろ、またしても糖質制限に不利なデータ(1)が出てまいりました。今度は「糖質制限で体脂肪が燃えやすい体になるの?」って問題を調べたメタ分析になっております。
メタ分析ってなに?という方は、とりあえず「パレオな男の正しい読み方」をどうぞ。すごーく雑に言うと、科学的な信頼性が高い研究テクニックのことだと考えていただければOKです。
明確な基準で過去の糖質制限データを精査
で、これはコロンビア大学の研究で、過去に行われた糖質制限ダイエット研究から質が高い28件を選び、そのデータを精査したもの。データを選ぶ基準は、以下のようになっております。
- 参加者の摂取カロリーがみんな同じになるよう調整されている
- タンパク質の摂取量は同じにそろえて、糖質と脂質の量だけを変えて結果を比較している
- ちゃんと研究者が用意した食事で栄養やカロリーをコントロールしている
なんだか当たり前の基準に思えるかもしれませんが、過去の糖質制限ダイエットの研究ってのは、
- 「代謝がアップしたよ!」って結果が出たけど、よく見たらタンパク質を増やしていた
- 「糖質制限で痩せたよ!」ってデータをよく見たら、糖質制限グループは食事量が減ってた
みたいな問題が結構あったんですよ。それは公平じゃないんじゃない?ってことで、この研究では、ちゃんとしたルールを決めたわけですね。
実際は糖質を食べたほうが代謝はアップしていた
では、分析の結果をならべていきます。
- 高糖質ダイエットも糖質制限ダイエットも、体の代謝や体脂肪の減り方にあたえる影響は同じ
- というか、どっちかといえば糖質が多い食事のほうが代謝はあがる(といっても平均で1日26kcalぐらいの差なんで微々たるもんですが)
といった感じ。これまでも「ケトジェニックダイエットでも体脂肪は燃えやすくならない」ってデータを取り上げてきましたが、あらためてメタ分析で確認されたのはデカいですねー。
さらに細かくデータの内訳を見ていきますと、
- 全28件の実験のなかで「糖質制限で代謝があがった!」と報告しているのは8件。そのうち4件は有意差がなかった
- いっぽうで、「糖質を多く摂ったら代謝があがった!」と報告しているのは20件。そのうち14件に有意差があった
みたいな感じで、大きく見ると糖質が多い食事のほうが有利な印象であります。糖質のほうがエネルギー効率が高いせいか、甲状腺の働きがよくなるからか、そのへんはよくわかりませんが。
体脂肪も高糖質のほうが減っていた
また、体脂肪の減少についても高糖質ダイエットのほうに有利な結果が出てまして、
- 糖質制限にくらべて、高糖質のほうが平均で1日16gほど体脂肪が減る傾向があった
とのこと。高糖質と低糖質で1日26kcalしか違わないのに、体脂肪の減り方には16gの差が出ております。このへんもちょっと謎。
まとめ
そんなわけで、以上の話をまとめますと、
- 代謝において糖質制限の優位性はとくにない
- どころか高糖質のほうが代謝はあがる(微妙な差なので現実的にはあんま意味がないけど)
- 体脂肪の減り方も高糖質のほうが有利(ただし、こっちもあくまで僅差)
って感じ。要は「やっぱりカロリーが重要だよね…」といういつものオチでして、「糖質を増やそうが減らそうがどっちでもいいんじゃない?」って結論にしかならないのでした。
私は基本は高タンパク食ですが、サツマイモ大好きっ子でもあるので、糖質も高めで行こうかと思っております。