誰もが「ネット荒らし」になり得る時代
環境によって誰でもネット荒らしになり得る
「誰でもネット荒らしになる可能性がある!」って(1)論文がおもしろかったんでメモ。
これはスタンフォードとコーネル大の共同研究で、2つの調査で構成されております。ひとつめは667人の男女が対象で、実験デザインはこんな感じ。
- 全員に「解くのが難しいクイズ」と「解くのが簡単なクイズ」のどちらかに挑戦してもらう
- クイズが終わったあと、全員の「気分」を採点してもらう
- 実験用のニセニュースを用意。記事の内容は同じだが「コメント欄に誰も書き込んでいない状態」と「すでに荒らしコメントが3つ付いている状態」の2パターンを用意
- 参加者にどちらかのニセニュースを読んでもらい、「最低でもひとつ以上のコメントを残してください」と指示
要するに、参加者の環境によって「荒らしたい欲」が活性化するかを調べたわけですね。
ムシャクシャしてやった。今は反省している
その結果はわりと明確でして、
- 簡単なクイズ+コメントがない記事を読んだグループ=35%がネガティブなコメントを残した
- 難しいクイズだけを受けた、または荒らしコメントがついた記事だけを読んだグループ=50%がネガティブなコメントを残した
- 難しいクイズ+荒らしコメントつきの記事を読んだグループ=68%がネガティブなコメントを残した
といったところ。難しいクイズで気分が落ち込んだときに、さらに「他人も荒らしてる」というお墨付きがつくことで、その人も荒らしになってしまう確率ははね上がるんだ、と。いわゆる「ムシャクシャしてやった。今は反省している」ってやつですね。
時間帯によってネットを荒らしたくなる
で、もうひとつの研究は、CNNニュースのコメント欄を使ったもの。2012年から約115万ユーザーのコメント2600万件をピックアップして、
- どれぐらい荒らしレベルがヒドいか?
- 荒らしコメントが書き込まれた時間
の2つで選り分けたんですな。なんでコメントの投稿時間を調べたかというと、過去の研究により、ヒトの気分は時間と曜日に大きく左右されることがわかっているからだそうな。
具体的には、多くの人は日中と週末のほうが、夜間や平日よりもポジティブな傾向があるとのこと。おもしろいとこに目をつけますなぁ(やや危うい理屈ですけど)。
そして結果は研究者の推測のとおりで、やっぱり夜間や月〜火曜日あたりに荒らしコメントが増えていく傾向がみられたみたい。ついでに、ひとつネガティブなコメントが出ると、あとは雪崩式にコメント欄が荒れていくパターンも確認されたとのこと。まぁそうでしょうね。
もちろん生まれつきの性格も重要ですが…
もちろん、これまでの研究では「ネットを荒らすようなヤツは単純に嫌な性格なんだ!」ってデータもありまして、こちらもまた真実ではありましょう。ただし、
- サイコパスやサディストが荒らしの先陣を切る
- たまたま嫌なことがあった人がそれを見る
- 内なる荒らし心が発動!
って感じで炎上が拡大してるってとこはあるんでしょうねぇ。誰でもある程度のサディズムやナルシシズムは持ってるでしょうし。
そんなわけで、私のように「受動ストレス」の被害を受けやすい人は、やっぱSNSの議論などからは身を避けといたほうがよさげ。淡々と暮らそうと思います。