最強の幸福術「ヘルパーズハイ」を作り出す科学的に正しい方法とは?
最強の幸福術「ヘルパーズハイ」を生み出すには?
「他人への親切がモチベーションを高める!」のは有名な話。人様に親切をすると脳内にドーパミンが出て、ランナーズハイならぬ「ヘルパーズハイ」って状態になるみたいなんですな。
そんなわけで「親切」は最強のモチベーションアップ法のひとつなんですが、スタンフォード大学から出た論文(1)がこんなことを言っておりました。
親切な行動は、受け手にメリットがあるだけではない。行動する側にも「ヘルパーズハイ」という喜びの状態を作り出すメリットがあるのだ。
「人のために良いことをしよう」という教えは、個人の幸福を高める良い戦略になる。残る問題は、ヘルパーズハイを作り出すベストの方法は何か?という点だ。
親切で幸福度が高まるのは確実なんだけど、親切の方法によって効果が変わるんじゃないのか、と。いかにもありそうな話ですねー。
目標の立て方によって「親切」の効果が変わる
ってことで研究チームは、543人の男女に6パターンの実験を行って「正しい親切の方法」を調べております。たとえば、ひとつめの実験では参加者を2つにわけて、
- 抽象目標:「誰かを幸せにする」というゴールを設定
- 具体目標:「誰かを笑わせる」というゴールを設定
って感じで、24時間以内に誰かに親切な行動をしてもらったんだそうな。その後で全員の幸福度をチェックしたところ、
- 具体目標グループのほうが最終的な幸福感は高くなった
との結果だったらしい。といっても両グループが取った行動に差はなくて、どっちも「誰かにプレゼントする」とか「なんか冗談を言う」とか「おもしろい動画をシェアする」みたいな、小さい親切を実践したらしい。にも関わらず、意識の持ち方だけで幸福度に差が出たわけですねー。
なぜ具体的な目標の方が幸福度が上がるのか?
なんでこういう違いが出るかと言いますと、
- 具体的な目標の方が予測が現実的になるから
であります。
つまり、「誰かを幸福にする」みたいにボンヤリした目標だと、向かうべきゴールがよくわからないんで、下手すりゃ「世界平和だ!」ぐらいの大きな欲望を抱きがちになっちゃうんですな。いっぽうで「誰かを笑わせる」ならゴールが明確なんで、その分やるべきことが現実的になり、自分の期待もムダに上がらずにすむわけです。言われてみりゃそうでしょうね。
具体的な方がみんな幸せになれる
ちなみに、この研究では「相手との関係や親切の種類は幸福度の差に影響しない!」って結論が出てるのもおもしろいポイント。もし相手が友人じゃなかろうが完全に初対面の人だろうが同じように親切で幸福度は上がるし、向こうに物をあげようが単に冗談で笑わせただけだろうが、やはり同じように全体の幸福度は上がったらしい。要するに、親切の効果はほぼ「期待と現実のギャップ」だけで決まるのではないか、と。まだハッキリした話じゃないものの、おもしろい仮説ですな。
さらに余談ですが、研究チームは、この結果をもとに「企業の目標も具体的にした方がよくない?」と提案しておられます。「お客さまを幸せに!」みたいなのじゃなくて、「お客さんの幸福度を年に5%ずつあげる」みたいな。
具体的な方策を決めれば、消費者の中にも現実的な期待がデフォルトでセットされる。その結果、最終的にはどちらも幸せになれるのだ。
ってことで、個人でも集団でも、「親切」で幸福になるためには期待のレベルが大事だよーってお話でした。言われてみれば見過ごされやすいポイントかも。