心の傷が原因で頭が悪くなっちゃうケースもある。これに対して我々はどうすればいいのか?
前にもちょっと触れましたが、「お金に困るとIQが下がる!」ってデータが結構あるんですよ。
これは行動経済学の研究から出てきた話で、どんなメカニズムかと言いますと、
- お金に困ると心のエネルギーを浪費する
- お金のことに脳の認知機能が割かれる
- 脳のリソースが足りなくなる
- 頭が悪くなる!
みたいな流れです。現代ではお金のストレスはかなり大きな要素でして、貧しさってのがかなり人間のパフォーマンスを下げちゃうみたいなんですな。
では、どうすればいいか?ってことで、そこらへんを調べてくれたのがブリティッシュコロンビア大学の実験(1)であります。
これはニュージャージーの炊き出しに集まっていたた150人を対象にした実験で、全員の私生活を調べたあとで、それぞれの問題解決能力やIQをチェック。そこから全体を2グループにわけております。
- セルフアファーム群:自分が過去に達成したこと、または何か誇れるようなことを口に出して言ってみる
- コントロール群:特になにもしない
って感じで、そこからまたIQテストを行ったんだそうな。すると、
- セルフアファームを行なったグループはIQが10ポイント上がった!
- ついでに、貧困から抜け出すための情報を集めるモチベーションが上がり、政府にも手助けを求めるようになった
って結果だったんですな。シンプルに自分が過去になしとげたことを思い出すだけで、IQが10ポイント向上ってのはかなりすごい差ですなぁ。
こういった現象が起きるのは、自分の成功体験を思い出すことで「自尊心」が高まるからであります。自分にちょっとした自信がつくおかげで貧しさに対するストレスが減り、おかげで認知機能が元の水準にもどったうえに、心に余裕ができたせいで他人にちゃんと助けを求められるようになったわけです。社会心理学でいうところの「スティグマ」がやわらいだんですな。
ちなみに、「人間のIQはスティグマで下がる!」ってデータは過去にも出ていて、たとえば差別に苦しむ黒人のIQがセルフアファームで改善したり、「女は数字に弱い!」って嘘を信じていた女生徒がやはり自尊心のトレーニングで持ち前の知性を取りもどしたりと、いろいろと良い結果が出てるんですな。もちろん、セルフアファームにはIQのベースラインを上げる効果まではないんだけど、マイナスをゼロにもどすぐらいの働きはしてくれるみたいなんですな。
そんなわけで、なんらかの心の傷が原因でIQが低下しているような方は、ぜひセルフアファームを実践してみていただければと思います。どうぞよしなに。