このブログを検索

今週の小ネタ:人身攻撃、長続きしないカップル、頭が良くなる色など

Summary

 

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

人身攻撃ってやっぱり効果的なんだなぁ……

ネットでよく見かける罵倒の方法に「人身攻撃」ってのがありますな。その人の論理のスキマやエビデンスの欠如をつくのではなくて、「あいつの顔は信用できない!」とか「前に悪いことをしたやつが何を言っても説得力がない!」みたいに本人の属性や過去を攻撃するやり方であります。

 

 

普通ならばただの暴論なんですが、実は「人身攻撃は本当に効果的!相手が科学者でも効果的!」っていう嫌なデータ(1)が出てたりしました。

 

 

これはモンタナ州立大学の実験で500人の学生が対象。みんなに架空の科学者の論文を評価してもらったんですが、その際に3パターンの情報を付け加えたんですね。

 

  1. 論文の内容には触れない、単なる研究者の自己紹介
  2. 研究者の属性を批判する情報(過去の失敗とか学歴の低さとか)
  3. 論文の甘さを指摘する情報(コントロール群がない!とか)

 

すると、一部の人身攻撃は、論文そのものの出来とは関係なく、学生の評価を左右したというんですな。具体的には、

 

  • 研究者の「学歴の低さ」や「性格のだらしなさ」は、特に論文の評価に影響を与えなかった
  • しかし、「過去の失態」(不正とか)や「利益相反」(サプリメーカーから金をもらってるとか)を突いた場合は、それが事実かどうかにかかわらず、論文の評価は激しく下がった

 

だったそうです。言われてみれば、「お前が言うな」や「あいつは金をもらってる」みたいな攻撃法のほうが多く見かける気もしますな。ちなみに、この結果は200名の一般人を対象にした追試でも確認されてまして、なかなか根深い現象みたい。

 

 

長続きしないカップルの性格とは?

こちらはイランで行われた実験(1)で、146組のカップルが対象。みんなのコミュニケーションスタイルを調べたうえで、もっとも別れやすい男女の特徴はなに?って問題について調べております。

 

 

コミュニケーションの方法にもいろいろありますが、ここで調べたのは「愛着スタイル」について。愛着スタイルってなに?って問題については、「あなたの性格は住む場所によって大きく変わる」にくわしく書いてますんでこちらをどーぞ。簡単に言えば、人間のコミュニケーションを「安定型」「不安型」「回避型」の3つにわける分類法で、安定型だけは他人とのつきあいが上手く、ほかの2つは生きづらい人生を送りがちなんですな。

 

 

でもって、この研究の結果ってのが、

 

  • 不安型と回避型のカップルはとにかくヤバい!

 

ってことです。片方は気分の移り変わりが激しく(不安型)、もう片方は親密な関わりを避けてしまうという、そんな組み合わせがもっとも関係性の満足度が低くて別れやすいなんだ、と。逆にどっちかが安定型であれば夜の生活の満足度も高く、愛情が長続きする傾向があったらしい。

 

カップルは、どちらかが落ち込んでいたり心理的なサポートが必要なときは、お互いに助けあわねばならない。しかし不安型は相手のサポートが苦手だし、逆に回避型は自分の悩みを相手に伝えることができない。

 

ってことで、2人の食い違いが多くなっちゃうみたい。まぁ愛着スタイルを変えるのってなかなか難しいんですけど、お悩みの方はやっぱ認知行動療法ってことになりましょうなぁ。

 

 

 

見るだけで頭が良くなる「色」が見つかった?

これはブリティッシュコロンビア大学の実験(1)で、600人の男女が対象。みんなに頭を使うタスク(神経衰弱とかアナグラムテストとか)を6パターンほどやってもらったんですが、その際に、

 

  1. PCの壁紙を真っ赤にする
  2. PCの壁紙を真っ青にする

 

の2グループに分けたんだそうな。そのあとでタスクの成績を比べたら、

 

  • 赤い壁紙で作業をしたグループは、注意力が必要なタスク(間違い探しみたいな)の成績が2倍良くなった
  • 青い壁紙で作業をしたグループは、創造性が必要なタスク(「レンガの新しい使い方を考えよう!」みたいな)の成績が2倍良くなった

 

って結果だったらしい。ざっくり言いますと、ヒトの無意識では「赤=警戒色」「青=リラックス」といった連想が働くので、赤は不安を煽って集中力を増し、青は脳が開放されて創造性を高めるわけですな。ここらへんの効果は昔から言われてたことではありますが、実際に2倍の違いと言われるとビビりますな。


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM