オメガ3のサプリで血液は本当にサラサラになるの?心臓病で死ぬリスクは減るの?をガッツリ調べたデータがオックスフォードから出たぞー
こないだの本には「オメガ3のサプリは買わないほうがいいよー」なんて話を書きましたけど、いまもなにかと賛否が激しいのがフィッシュオイルであります。
というのも、過去の実験(1)では「魚の油で健康に!」みたいな結果がいろいろ出てまして、アメリカ心臓協会も「オメガ3サプリはおすすめだよ!」ってステートメント(2)を発表したり。その一方では「いろんな観察研究をチェックしたけどオメガ3って意味なくない?」みたいな結論になってたりとか。うーん、難しい。
ってところで、オックスフォード大学から過去最大級のフィッシュオイル研究(3)が出まして、かなーり決定的な結論を出してくれております。
論文の目的は「オメガ3のサプリで心疾患は予防できるの?」を調べること。よく「オメガ3で血液がサラサラに!」みたいに言われますが、それは本当なの?死亡率は下がるの?脳卒中とか心臓病のリスクは下がるの?って問題ですな。
そのために、研究チームは過去のデータから10件のトライアルを選びまして、77,917人分の変化をまとめたメタ分析になっております。ここまでのデータをまとめた事例は過去になかったんで、非常によろしいのではないでしょうか。
いちおう、ざっくりしたデータの内訳をメモっておきますと、
- 研究の長さは最短で1年、最長で6.7年
- 1日のEPAは最小226mgで最大1800mg
- 1日のDHAは最小0mgで最大1700mg
- 参加者の平均年齢は64歳で、うち3分の2は何らかの心疾患にかかった経験がある
- 10件中8件はダブルブラインド(つまりデータの質は高い)
といったところです。こりゃいい感じですなぁ。
さて、その結果をすごーくざっくり言っちゃいますと、
- 平均で4.4年間ほどオメガ3サプリを飲んでも、心疾患による死亡率、心臓病、脳卒中などには何のメリットもなかった!
だったそうな。この傾向は年齢、病歴、コレステロール値などにも左右されなかったらしく、つまり「どんな人でもオメガ3サプリは飲まなくていいんじゃない?」ってことですな。むー、思ったよりはっきりした結論になってしまいましたなぁ。
くり返しになりますが、今回の研究はサンプル数も多いし期間も長いしで、データとしてはかなり質が高め。どうやらオメガ3サプリで副作用みたいなのは出ないようですが、かといって目立ったメリットもなさそうな気配が漂ってまいりました。とりあえず現時点では、心疾患リスクを減らしたきゃ「運動するか野菜を食べよう!(あと酒も減らそう)」ってとこに落ち着くのかもですな。
他方で魚を食べるのがいいってのは一貫して出てる傾向(4)なので、もしかしたらクオリティが高いオメガ3サプリなら「血液サラサラ」効果は得られるのかもですが、そこらへんはよくわからんところです。いずれにせよ、いまのところ「オメガ3サプリで心疾患を予防!」みたいな話は、そこまで科学的にサポートされてないってところは知っとくと良さげです。やっぱ魚を食べよう……。