糖尿病に効かせるためのパレオダイエットガイドライン
ちょくちょく「パレオダイエットって糖尿病にも効きますか?」と聞かれることがありましてね。パレオダイエットはいろいろなメリットがあるっぽいけど、はたして糖尿病はどうなのか、と。
そんなときは、たいてい「まだデータが少なくてイマイチ断言できないんですよねー」とか言ってたんですが、ここ数年でわりといい感じの研究が出てきましたんでまとめとこうかと思います。
パレオダイエットは糖尿病に使えそうですよ
で、まず総論から言っちゃうと、「パレオダイエットって糖尿病のコントロールにもいいんじゃない?」と思わせるぐらいのレベルにはきてます。どうも多くのデータだと、2型糖尿病の症状がパレオダイエットで結構よくなってるんですよ。
具体的には、空腹時血糖、インスリン抵抗性、HbA1c、Cペプチド、HOMA といったあたりに改善が見られるようで、かなり期待が持てそうな感じ。一部の実験では、アメリカ糖尿学会が勧める食事法よりも好成績を出してまして、押さえておくと良さげであります。
パレオダイエットと糖尿病のデータとか
ってことで、以下にいくつかのデータをどーぞ。
- 13人の糖尿病患者を対象にしたクロスオーバー研究(1)では、標準的な糖尿食(全粒粉と野菜をいっぱい食べる)とパレオダイエットの効果を3ヶ月単位で比較しております。その結果は、パレオダイエットの方がHbA1cが改善し、中性脂肪、血圧、コレステロール、体重の減り方も大きかったそうな。どうも糖尿食よりパレオダイエットの方が満足感が高いせいで、摂取カロリーが減るのが大きいらしい。
- 29人の糖尿病患者さんを対象にした研究(2)は、12週間をかけてパレオダイエットと地中海式ダイエットの効果を比べております。結果、パレオダイエットは糖代謝が26%改善したのに対し、地中海式は7%だったとのこと。どこでこの違いが出たのかは謎ですが。
- 24人を対象にした2週間の実験(3)は、こちらも標準的な糖尿食とパレオダイエットの違いを比較。すると、パレオダイエットの方が糖のコントロールが良くなり、脂質のプロファイルも改善してたとのこと。ちなみに、この実験だとパレオダイエットグループはインスリン抵抗性が大きく改善してまして、これまたよろしい成果じゃないかと思われます。
- 最後に32人を対象にした実験(4)では、12週間にわたって「パレオダイエット+普通のゆるい運動」と「パレオダイエット+専門家の指導によるキツめの運動」を指示して様子をみております。その結果、どちらもほぼ同じぐらい体脂肪が落ち、HbA1cも減ったんだそうな。つまり、特にキツい運動をしなくても、パレオダイエットの食事法を守るだけで糖尿病にはいいんじゃないかってことですな。
いずれもまだサンプル数が少ないのが難点ですが、実験のデザインはそれなりにいいですし、糖尿病対策のガイドラインとしてパレオダイエットを使うのも十分にありなのかもですな(もちろん主治医に相談の上で)。
パレオダイエットを糖尿病対策に使う場合のポイント
まぁパレオダイエットが他の健康食より優位性があるかはわからんのですが、とりあえず糖尿病には健康的な食事が大事なのは間違いないんで、候補のひとつに入れてもいいのではないかと思う次第。具体的なパレオダイエットの手法については「まとめページ」か「パレオダイエットの教科書」を参考にしていただければと思いますが、糖尿病に使う際には以下のポイントも合わせていくと良いかと思われます。
- 糖質の量が多いフルーツは避ける:ドライフルーツは論外として、マンゴーとかパイナップルとかそのへんも控えておきたい。
- 甘味料も避ける:通常のパレオダイエットだとハチミツやメープルシロップは「まぁまぁアリ」って感じなんですが、この場合は控えておかれたし。
- 高糖質な野菜は冷ましてから食べる:ジャガイモなんかは糖質が多いので、茹でた後にいったん冷やすとレジスタントスターチが増えていい感じです。
- 糖質が豊富なものを食べるときは食物繊維が豊富なものとセットで:サツマイモを食べるときなんかは葉物野菜と組み合わせると吉。ついでにお酢と組み合わせてみるのもアリ。
ということで、基本的にはパレオダイエットのガイドラインを守りつつ、さらに「食物繊維とタンパク質を増やすぞ!」って方向で考えていただければと思います。やたらと糖質を怖がる必要はないですが、ムダに高糖質なものを食べるのも良くないですよーってことでひとつ。