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なんでみんな人生を後悔しがちなんだろう?の科学

Regret

 

「人間の後悔」に関する研究は昔からあって、だいたいが「みんな自分が『やったこと』より『やらなかったこと』を後悔するよ!」って結論なわけです。「あのとき思い切ってプロポーズしとけば……」みたいなやつですな。

 

 

それでは、さらに具体的に「どんなことをやらないと後悔しやすいのか?」ってのを調べてくれた研究(1)が出ておりました。やるやらないの話ではなく、後悔の念がわきやすい行動の内容についてチェックしてみたわけっすね。

 

 

研究に当たったのはコーネル大学のトーマス・ギロビッチ先生で、名著「人間この信じやすきもの」で有名な超大御所であります。

 

 

ここでは6つの実験が行われてまして、研究チームは「後悔」の種類を2パターンに分けてます。

 

  1. 理想への後悔:自分がなりたいような人間になれなかった!みたいなパターン(独立せずに同じ会社に残留してしまった!とか)
  2. 義務への後悔:社会的な約束を果たせなかった!みたいなパターン(親戚の葬式に行かなかった!とか)

 

ざっくり言えば、自分の夢や希望を追わなかった後悔と、他人への義務やルールを満たさなかった後悔に分類して、どっちがメンタルにヤバいのかを比べた感じっすね。

 

 

実験の参加者は数百人単位でして、おおまかに言えばこんな研究です。

 

  1. シンプルに「人生で後悔したことは?」を尋ねる
  2. 後悔の内容を「理想」と「義務」に分類
  3. どっちがより重い後悔かを調べる

 

ってことでどんな結果が出たかと言いますと、

 

  • 大半の参加者は「理想への後悔を体験した」と回答した(72% vs 28%)
  • 「人生の後悔をリストアップしてください」と指示すると、半分以上が「理想への後悔」になりがち
  • 「人生で最高の後悔を教えてください」と尋ねると、76%は「理想への後悔」を答えた

 

って感じです。みなさん夢を追わなかったことを公開してらっしゃるみたい。

 

 

こういう違いが出る理由は簡単で、そもそも「理想」より「義務」のほうが対処が簡単だから。たとえば「親戚の葬式に行く」って義務は何をすればいいかが明確だけど、「良い親になる」って理想は何をすればいいのかイマイチわかりませんからねぇ。

 

 

その結果、多くの人は義務的なタスクばかりこなしちゃって、ついつい理想は後回しにしがちなんだ、と。理想は達成までのステップがあいまいなんで、手がつけにくいわけですな。わかるなぁ。

 

 

ギロビッチ博士いわく、

 

多くの人々は、理想を追う際につい「ひらめき」を待ってしまいがちだ。

 

しかし、ナイキのスローガンにもあるとおり、答えは「JUST DO IT」しかない。ひらめきを待つのではなく、ただ飛び込むのだ。

 

ひらめきを待つのは言い訳にしかならない。ひらめきは行動からしか生まれないからだ。

 

たいていの人は私たちが思うよりも優しいし、こちらが思うほど気にしてもいない。

 

他人の視線が怖くて行動に出られないのなら、ただ「JUST DO IT」の精神を考え直してみることだ。

 

とのこと。論文とは思えぬ熱いアドバイスになっておりますな。ギロビッチ博士ってこういうキャラだったのか。

 

 

ってことで、のちのち後悔しないためにも理想を追う時間を意識的に作るのが良さげ。シカゴ大の調査でも「『やるかやらないか』で人生を迷ったら、とりあえずやってみるべし」って結論が出てますしねぇ。やっぱそういうことなんでしょう。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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