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今週末の小ネタ:内気な性格は赤ちゃんの時点で決まってる、ビタミンDは動脈硬化に効くか、男の「ネガティブ感情を出さない」問題

Summary


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。 新型コロナに関する新しいデータがいくつか出てたので、今回はそこらへんのまとめなど。

   

 

 

赤ちゃんの時に内気な人間は大人になっても内気!

赤ちゃんの時に内気な人間は大人になっても内気!」ってな研究(R)が出ておりました。

 

 

これはメリーランド大学などの研究で、

 

  1. 生後14カ月、15歳、26歳の3つのポイントで全員の「抑制傾向」を調べる
  2. 赤ちゃんの頃の「抑制傾向」が大人になってからもみられたかをチェック

 

みたいな内容になってます。対象になった男女は165人で、よくぞこれだけ長く追跡調査したなーと尊敬の念がわきますね。

 

 

「抑制傾向」ってのは、よく知らないものごとやに対して用心深くなったり、逃げたりといった行動を取りやすい性質のこと。どちらかと言えば私もこのタイプなんですが、そのくせ好奇心は強いタイプなので、抑制と開放性のあいだでいつもバランスを取るのに難儀してます(笑

 

 

過去の調査によれば、抑制的な行動を示す子供は、大人になってから不安障害やら対人不安にハマっちゃうケースが多いそうで、これまた我ながら心当たりがあるなーとか思ったりしました。でもって、調査の結果なにがわかったかと言いますと、

 

  • 赤ちゃんの時点で抑制傾向を示していた人は、大人になっても内向的で控えめな性格に成長しやすい
  • 赤ちゃんの頃に抑制傾向を示した人は恋愛相手が少なく、友人や家族とも薄い付き合いをする傾向があった
  • ただし、抑制的だからといっても、教育レベルや仕事の成功率が低くなるわけでもなかった

 

また、この調査で使われたテストでは、参加者の 「エラー関連ネガティブ度」ってのも調べてたりします。これは「自分のミスにどれだけ敏感か?」を現す指標でして、この数値が高い人は、

 

  • 不安に関連した問題を起こしやすい
  • ただし、薬物乱用や衝動的な行動などの問題は起こさない

 

みたいな傾向も確認されたんだそうな。「内気さは赤ちゃんの時に決まる!」と言われると落ち込みそうな気もしますが、これは「そういうもんだ」と受け止めてコントロールしてくしかないっすねぇ。

 

 

 

ビタミンDは動脈硬化に効くか?を調べたメタ分析のお話

またも定期的に取り上げてるビタミンDの話です。新しいデータ(R)は「ビタミンDが動脈硬化に効くか?」を調べてまして、先行研究から9件の論文を選んで918人分の調査をまとめたメタ分析になっております。

 

 

というのも、昔から「ビタミンDのレベルが低い人ほど動脈硬化のリスクが高い」って見解があったんですよ(高血圧リスクなんかも高くなる)。なので、ビタミンDのサプリが効くんじゃないのか?って可能性はよく指摘されてたわけです。

 

 

今回のメタ分析であつかったデータの内訳を軽くまとめると、

 

  • 実験期間は2〜12カ月の範囲
  • 参加者は健康な人、慢性的な腎臓病の人、高血圧の人など
  • 実験で使われたビタミンD3は1日 1,111 IU 〜 5,000 IU

 

みたいになってます。その上でどんな結果が出たかと言いますと、

 

  • ビタミンD3サプリは動脈硬化を改善する。ただし……
    • もとから血中のビタミンDレベルが不足しており、
    • 少なくとも1日2,000IU以上のビタミンDを飲み、
    • 少なくとも4カ月かけてビタミンDを飲み続けた場合に限る

 

だったそうです。体内のビタミンDが足りない時に限りサプリには意味があるみたいっすね。普段から太陽の光を浴びることができない人は、サプリを使ってみるのもいいかもっすね。

 

 

 

 

男の「ネガティブ感情を出さない」問題とか

男女はネガティブな感情の処理の仕方が違うぞ!」ってデータ(R)が出ておりました。

 

 

これはラトガース大学などの調査で、結婚して平均39年の夫婦722組を対象にしたもの。全員に「結婚生活でどんな経験をしましたかー?」とか「生活のトラブルに対してパートナーはどう反応しましたか?」とか、暮らしのなかでどんな問題解決を行ってきたかを尋ねたんだそうな。

 

 

でもって、すべての答えをまとめてみたら、男女によってネガティブな体験への向き合い方が違うことが浮かび上がりまして、

 

  • ネガティブな感情になった時に、女性はサポートを受けたり与えたりすることで気分が改善する傾向があったが、男性はそうではなかった

 

  • 女性は悲しみ、心配、欲求不満などの感情を表に出すのを好んだが、男性はネガティブな感情を表現するのを嫌がった

 

  • 男性は感情的なサポートを受けたり与えたりする行為にフラストレーションを感じやすかった

 

だったそうな。全体的に女性は素直にネガティブな感情へ対応するのに、男性は真逆の傾向を示してますね。

 

 

研究チームいわく、

 

男性は自分の傷つきやすい感情を表現したがらないが、女性は悲しみや心配をずっと気楽に表現する。

 

女性にとって、配偶者からサポートを受けるのは良いこととして体験される。しかし、高齢の男性は。妻から多くの支援を受けていることに不満を感じることがあるようだ。そのサポートによって自分が無力だと感じたり、能力がないと感じてしまうからだ。

 

というわけで、男のプライドの高さを問題視しておりました。確かにこうしてみると男の方がめんどいっすね。

 

 

この研究は高齢夫婦しか対象にしてないので、若いカップルだとまた違うのかもしれませんが、とりあえず「オッサンはもっと素直に自分のネガティブ感情を表現した方がみんな幸せになれるかも?」って話は知っておいてもいいでしょうな。

 

 

 

 

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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