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今週末の小ネタ:座る人は頭がいい?、カップルと儀式、瞑想のデメリット

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

    

 

 

座ってる時間が長い人は、実は結晶性知能が高い?

座りすぎがよくないって話はよく書いてますが、コロラド州立大学から「着席にも良いところはあるかもよ!」ってデータ(R)が出てておもしろかったです。

 

 

チームは228人の高齢者に頼んで活動量センサーをつけてもらい、まず日々の活動レベルをチェック。7日間分のデータを集めた上で、さらに全員に認知テストを行なって、日々の活動との関係を調べたんだそうな。

 

 

で、そこでどんな傾向が見られたかと言いますと、

 

  • 中から高程度の活発な活動をしている高齢者ほど、記憶力や問題解決力が優れていた
  • ただし、語彙力と推論力のタスクについては、座っている時間が長い参加者の方が成績がよかった
  • 家事や料理、洗濯などの軽い運動は、認知テストの結果とほとんど相関しなかった

 

みたいになってます。「運動すると頭が良くなる!」が常識になった最近の風潮からすれば、活発に動いてる人の方が全てのテストで成績が上回ってもおかしくない気がしますけど、意外とジャンルによって優劣が分かれたみたいっすね。

 

 

ざっくり区分けすれば、

 

  • 運動をしてる人=脳の処理スピードを要するタスクは得意
  • 座ってる人=知識や経験から得られるタイプの知性が高い

 

といった感じになりまして、座り時間が長い人たちは、いわゆる結晶性知能が高いのかもしんないですね。

 

 

もっとも、座っている時間が長い人ほど脳の老化が早いのは先行研究でも示されてるとおりで、「運動なんかしないでゴロゴロしてる方がいいんだ!」って話にはならないのでご注意ください。チームいわく、

 

この結果はあくまで相関関係だが、人々が座っているときには、読書、ゲームやパズル、演劇のような教育的で刺激的な活動に参加している可能性が高く、それが結晶性知能を高めるのに役立つのかもしれない。

 

ってことで、あくまで「座り時間の長さは脳を刺激している時間の長さを反映しているのでは?」ってポイントを強調しておられました、ですよねー。

 

 

 

カップルの結婚は”儀式"で決まる

カップルの仲は儀式の有無で決まる!みたいなデータ(R)がおもしろかったんでメモ。

 

 

ここでいう「儀式」ってのは、記念日とか誕生日とか定期的な夕食といったものを指してて、ふたりのあいだで「定期的にこれをやる!」って了承があれば、それは儀式にカウントしてOKであります。その点ではどんなカップルも儀式のひとつやふたつは持ってるはずですが、これが思ったより大事かもしれないわけっすね。

 

 

研究内容はシンプルで、

 

  1. 24組のカップルに徹底的なインタビューを実施
  2. それぞれの結婚へのコミットメントと”儀式”の有無を調べる

 

みたいになってます。そこで何がわかったかと言いますと、

 

  • 一般に”儀式”はふたりの絆を強化し、結婚へのコミットメントを強化する働きがあった
  • が、一方で”儀式”は、ふたりの「食い違い」や「対立点」を浮き彫りにする働きもあるので、そこらへんをわきまえてないとバックファイアを起こすこともある

 

だったそうです。基本的に”儀式”はカップルの中を深める作用があるものの、一方でケンカのもとにもなるかもなんで、そこだけ注意してうまく使うのが大事だってことっすね。

 

 

 

マインドフルネス瞑想で記憶がゆがんじゃう?問題

このブログではマインドフルネス瞑想のメリットを多く紹介してますが、久々にデメリットのお話(R)です。今回のはカリフォルニア大学の研究で、15 分間のマインドフルネス瞑想で記憶があいまいになっちゃうというんですよ。

 

 

だいたいどんな実験かと言いますと、

 

  1. 153人の参加者のうち、半分に15分のマインドフルネス瞑想をしてもらう(残りはボーッとする)
  2. ゴミの関連語を15個並べたリストを記憶させる(廃棄物、缶、汚水、がらくた、クズなど)
  3. 覚えた単語をできるだけ思い出すように指示する

 

ってな感じです。すると、瞑想をしたグループの39%がリストになかった単語を誤って思い出したのに対し、ボーッとしたグループの誤答は20%だけだったそうな。なんで「ゴミの関連語」を覚えさせたかは謎ですが、とにかくマインドフルネス瞑想を行うと、誤った記憶を思い出す確率が上がるかもしれないわけですね。

 

 

ここではさらに似たような実験を2つ行ってまして、どっちも結果は同じ。瞑想をしたグループは、ボーッとしてた人よりも誤った記憶に左右されるケースが多かったんだそうな。

 

 

こういった現象が起きる理由は謎なんすけど、チームが予測するところでは、

 

  • マインドフルネスを訓練すると、想像の記憶と実際の記憶を区別するのが難しくなる?
  • マインドフルネスの特徴である「思考と感情をジャッジしない」って部分が、記憶の形成を妨げている?

 

みたいになってます。言われてみれば、マインドフルの「ものごとを区分けせずすべて受け入れる」みたいな側面は、記憶の定着を邪魔するのかも?って気がしますね(記憶は情報の区分けが大事なんで)。

 

 

正直、この欠点がどこまで正当かは判断しづらいですけど、よしんば記憶面のデメリットがあるとしても、個人的には感情に巻き込まれないスキルの方が大事なんで、今後も瞑想は続けるだろうなーってとこです。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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